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内臓をえぐるような「線の日本美術史」 川内理香子のドローイングに溺れる

アート・ジャーナル

2020/12/19
note

 自在に歪められた人体の全部または一部、おそらくは生姜? のような植物のアップ……。

川内理香子, animal, 2019, watercolor and pencil on paper, 515 x 364 mm

 何が描かれているのかは、どの作品を見てもぼんやりとわかる程度。ところどころに赤や青の色が塗られているものの、基本的にごくわずかな黒い描線で絵ができている。

 それなのに、この生々しさといったら。

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 見つめていると背筋がゾクッとしたり、艶かしい気分がよぎったり、また吐気が上ってくる瞬間もあったり……。感情というより、もっと原始的な情動が、身体の奥からむくむく立ち上がってくる感ありだ。

 昨今の最注目アーティスト、川内理香子の作品のこと。

 このたび初の画集『Rikako Kawauchi drawings 2012-2020』を刊行し、それに合わせて東京・文京区にあるギャラリーWAITINGROOMで、個展「drawings」も開催中だ。