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クリスマスが今年もやって来る! 竹内まりや・山下達郎夫妻のクリスマスソングはなぜ心に残るのか

2020/12/17
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 クリスマスが今年もやって来る。

 何気ない一文だが、読んだとたんに竹内まりやの歌声が脳内に再生される人も多いのではないか。そう、これは、毎年この時期になるとケンタッキーフライドチキンのCMでBGMに流れる「すてきなホリデイ」のサビの一節でもある。

竹内まりや ©時事通信社

木村拓哉も参加している「今夜はHearty Party」

 竹内まりやとケンタッキーの関係は長い。1995年にクリスマスのCMソング「今夜はHearty Party」を書き、途中流れなかった年もあるものの1999年までCMで使われた。そして翌2000年、CMのために新たに書き下ろされたのが「すてきなホリデイ」である。以来じつに20年間も流れていることになる。

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「今夜はHearty Party」では、SMAP(当時)の木村拓哉がセリフとコーラスで参加している。

 これは歌詞に「キムタク」というキーワードを入れたから、本人のセリフが入ると面白いだろうと考えたのが発端だった。ダメ元で依頼した数日後、木村はたったひとりでスタジオに現れたという。竹内は当時まだ20代そこそこの木村の度胸に痛く感心し、夫の山下達郎を交えた3人でコーラスをしながら彼が笑顔で踊っているのを見て、「やっぱりタダ者ではないぞ」と驚かされたと、後年振り返っている(※1)。

「今夜はHearty Party」には木村拓哉も参加 ©文藝春秋

「今夜はHearty Party」では、失恋した女性が仲間たちに慰めてもらおうとパーティーに参加、やがて今度こそ本当のすてきな恋をつかまえようと心に誓うさまが歌われた。これに対して、「すてきなホリデイ」で歌われるのは、クリスマスを心待ちにする家族だ。

 竹内は、子供の頃の冬休みのワクワクした気持ちを思い出し、ハートフルな12月の一日を、ディズニーの映画音楽のようなオーケストレーションに乗せて歌ってみようと思い立つ。それを実現するため、「もっとも強い味方」となってくれたのが、今年6月に亡くなった音楽家の服部克久だった。服部のアレンジの出来栄えに竹内は、《私の弾き語り曲を、古き良き時代を思わせるゴージャスなクリスマスソングへと素敵に変身させて下さいました》と謝辞を贈っている(※1)。

 なお、夫の山下は27年前の週刊誌の記事で、自身のクリスマスのすごし方について《イブの夜に女房(歌手の竹内まりやさん)と娘と一緒に家族だけで、自宅で過ごします。こどもが生まれてから十年ほど、ずっとそのスタイルは変えていません》と語っていた(※2)。