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NIKE“厚底狂騒曲”の先には何が起きるのか? 2021年は「シューズメーカー戦国時代」だ!

2021年の論点100

2021/01/03

 近年、マラソンや駅伝といった陸上競技の長距離種目で、ナイキの「厚底シューズ」が話題になりました。

 ソールにカーボンプレートを内蔵した同社のシューズは、ランナーの足への負担を減らし、ロードレースだけでなくトラックレースでもタイムの大幅な向上に寄与していると言われています。実際に2020年の箱根駅伝では、8割を超える選手が同社の厚底シューズを履いていました。

 これまで長距離種目のシューズと言えば、ソールを薄くして、とにかく軽さを追求したものが当たり前でした。その「常識」をナイキは覆したともいえます。

©iStock.com

「厚底シューズ」の流れは2016年のリオ五輪から 

 この流れが始まったのは2016年のリオ五輪でした。リオ五輪に出場したアメリカのゲーレン・ラップ選手は、近年では前例のない10000mとマラソンの2種目出場を敢行し、マラソンで銅メダルに輝きました。そしてその足にはナイキの厚底シューズのプロトタイプを履いていたのです。

 マラソンとトラックレースの2種目に出場するには、いかに足にかかる負担を減らすのかが重要でした。そこで「厚底シューズ」という製品が大きなメリットを与えたのです。

 そして、その翌年にはリオ五輪を制したケニアのエリウド・キプチョゲ選手が「Breaking2」プロジェクトと題した、フルマラソンで2時間切りを目指す驚異の企画に参加しました。

 このプロジェクトは世界各国で注目をあつめ、そこで使用されたシューズにも関心が集まることになったのです。その後、使用されたシューズが一般でも発売されると、それによるタイムの向上が顕著だったこともあり、徐々に現在の「ナイキ一強」ともいえる状態へと繋がったのです。

 実は、ある日系メーカーの方が言っていたのが「各社とも厚底シューズがマラソンや駅伝に向いているのはわかっていた。カーボンも短距離のスパイク素材ではすでに使っていたので、有用さも十二分に理解していた」ということです。

 では、なぜ日系メーカーからは厚底シューズが出てこなかったのでしょうか。