〈あらすじ〉
1990年、60代のユダヤ人の夫婦、ヴィクトル(ウラジミール・フリードマン)とラヤ(マリア・ベルキン)はソ連からイスラエルへ移住し、第二の人生をスタートさせた。ソ連ではハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えをする声優として活躍した2人だが、イスラエルにはロシア語声優の需要がなかった。生活費を稼ぐために、夫に内緒でテレフォンセックスの仕事を始めたラヤは、男性客の好みに合わせて声を使い分け、売れっ子になっていく。一方のヴィクトルは、海賊版レンタルビデオ店で吹き替えの職を得る。ヴィクトルが妻の仕事を知ったことをきっかけに、長年抑え込んでいたお互いへの本音が爆発し、ラヤは家を出る。
〈解説〉
主人公夫婦と同じ旧ソ連圏から移住したロシア系イスラエル人のエフゲニー・ルーマン監督が、生誕100周年を迎えるフェデリコ・フェリーニへのオマージュを込めて描くヒューマンドラマ。88分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆お茶目なウサギとドッシリしたクマのような夫婦のコンビネーションが愉しい。確かにアキ・カウリスマキ風の人情噺。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆珍しい題材に興味を持ったが、話がやや作為的。カウリスマキの影響は感じられても、あのデリカシーは備わっていない。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆職人としての声優のプライドが、異国で稼ぐことをリアルに困難に。切なく笑えて、熟年夫婦の醸し出す情にほっこり。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆ロシア語の海賊版ビデオにフセインのスカッド攻撃。固有の歴史背景の中で人生の綾が滲み出る。よくできた喜劇の見本。
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洞口依子(女優)
★★★★☆鉄のカーテン崩壊後のイスラエルに夢を求める結婚生活の黄昏。カウリスマキを想起させる映像、コメディタッチがツボ。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『声優夫婦の甘くない生活』(イスラエル)
12月18日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
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