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「狂ったように野球をやっているか?」 澤村拓一が巨人からロッテに移籍して意識していること

2020/12/20
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 周囲からは、変わったと言われる。今年、ジャイアンツからマリーンズに移籍した澤村拓一投手はトレード後、22試合に登板をして防御率1.71、13ホールド、1セーブの成績を残した。環境の変化でなにか変わったのか。シーズンオフ。無休でトレーニングを続ける澤村は振り返った。

感情を表に出すという選択をした理由

「オフになると一人でいる時間が多いのでボクもなにか変わったのかなあと考えることがあります。一つ、変わったことがあるとすればチーム全体を見れるようになったこと。振り返るとジャイアンツではチームを引っ張るキャプテンのような人がいつの時代もいて、それに乗っかっている感じだった。自分ではそんなつもりはなくてチームを考えながら行動していたつもりではいたけど、その自覚が足りなかったのかもしれない。環境が変わって今は客観的に状況を見てなにをしないといけないのか。チームのためにするべきことはなにかを積極的に考えている自分がいる」

 誰もいないロッカーで澤村は静かに自己分析をした結果、導き出した答えを教えてくれた。マリーンズに入った澤村は表情が豊かになったと人は言う。ピンチで打者をねじ伏せマウンドで絶叫する澤村。ベンチにて笑顔で後輩たちに話しかけ、勝利すると全身で喜びを表現する澤村。その表情にファンだけではなくチームメートも魅了されていた。

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 なるほどである。感情を表に出すという選択をしたのはチーム全体を考えての事だったのだろう。その絶叫がチームを奮い立たせ、笑顔が後輩たちをリラックスさせ、乗せる。若手が多く、比較的大人しい選手の多いマリーンズにあって感情を出すことがチームの士気を高めることを理解した上で、進んでその役を買って出ていたのだと察した。

澤村拓一 ©千葉ロッテマリーンズ

「誰かが言うだろうという考え方は捨てよう」

 澤村はシーズン中、チームが窮地に直面した時、メッセージを伝え続けたのも組織全体を想っていたからだ。何度かチームのグループLINEに鼓舞する言葉を書き込み投稿した。ホークスがリーグ優勝を決めた10月27日、試合後にこんなメッセージを残している。

「優勝できなかったことはチームとして悔しいですが、まだ日本一になる権利は残っています。頑張れば、努力すれば報われる。ではなくて、報われるまで頑張り続け、前に進みましょう。切り替えてまた明日戦いましょう」