昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

“貨物鉄道”はなぜ復活した? 異常事態の中でも揺るがない強さとは

2021年の論点100

2020/12/27

 今回のコロナ禍では、マスクやトイレットペーパーが一時的に品薄になったことを除けば、モノが供給されずに困ったケースは少なかった。物流は、ほぼ通常通りに動いたのだ。

 物流というとトラック輸送を思い浮かべるが、近年ドライバーの減少により、そのシェアは低下している。また、二酸化炭素排出量の多いトラックより、環境面で優れている鉄道や船による輸送を選ぶ荷主も増えている。こうした輸送手段の転換を「モーダルシフト」と呼び、その動きは近年拡大している。中でも一度に大量に、定時輸送ができる貨物鉄道を再評価する機運は急速に高まっている。

 今から33年前の国鉄の分割民営化当時、貨物部門のみを受け持つことになった日本貨物鉄道(JR貨物)は、「いずれ潰れる会社」と見られていた。

©iStock.com

 事実、民営化当初こそ黒字スタートだったが、その後は厳しい経営を強いられ、貨物駅跡地の再開発で得られる不動産収入に頼る状況が続いた。しかし、ここに来てモーダルシフトが進む中、本来の物流事業が再び脚光を浴び始める。JR貨物では鉄道事業部門が黒字転換を果たし、念願の株式上場も視野に入ってきた。

貨物列車はいつ走っている?

 その割に、首都圏に住んでいると貨物列車を見かけない。じつは現代の貨物列車の多くは夜間に走っている。理由は大きく2つ。荷主側に「夜出して朝届く」というニーズが高いこと、もう1つは、大都市圏の通勤・通学時間帯は頻繁に行き交う旅客列車による過密ダイヤのため、貨物列車が走る余裕がないことがある。

 昼間集めた荷物をコンテナに収め、夜までにトラックで貨物駅に運び込む。コンテナごと列車に載せると、列車は夜遅くに出発し、翌朝目的地近くの駅に着く。ここで再びトラックに載せ替え、午前中にはそれぞれの荷受先に届く――というのが一般的な流れだ。

 従来のように全行程をトラックが担当すると、コンテナの数だけトラックとドライバーが必要になり、ドライバーは長時間の運転を余儀なくされる。高齢化が進む日本で、この労働形態を継続するには限界がある。