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連載シネマチャート

16歳の少女と42歳の医師 家族を亡くした二人に時代の暗い陰が忍び寄る…「この世界に残されて」を採点!

シネマチャート

〈あらすじ〉

1948年、ハンガリー。16歳のクララ(アビゲール・セーケ)はホロコーストを生き延びたが、両親と妹を亡くしたため、大叔母のオルギと暮らしていた。心を閉ざした問題児だったが、診察で知り合った42歳の産婦人科医アルド(カーロイ・ハイデュク)にだけは、父を慕うように懐く。アルドもホロコーストで妻と2人の息子を亡くしており、「クララの保護者になってほしい」というオルギの提案を受け入れる。クララは明るさを取り戻していくが、スターリン政権下のソ連の影響で、生活にも日に日に暗い影が忍び寄る。アルドはクララを守るために、ある決断をする。

〈解説〉

家族を失った孤独な2人が、年齢や性別の違いを超えて痛みを分かち合い、人生を生き直す姿を描くヒューマンドラマ。バルナバーシュ・トート監督の日本初公開作。88分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★★ホロコーストの過去を負う男と孤児になった思春期の少女の、あい寄る魂。その人物造型の確かさ。冬枯れ風景も沁みる。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆2種類のファシズムに翻弄された東欧の不運と苦痛が肚に響く。半端に技を凝らしたくなる話だが、省略と切断が効果的。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★大切な人を失う時代を生き抜き、残された意味を反芻してしまう苦しみが沁みる。だからこそ深い愛に抱きしめられる。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆ファザコン物語的な官能の甘みに、ふたつの独裁に挟み撃ちされたハンガリーの歴史の痛みが込められる。隙のない逸品。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆トラウマという傷を深く刻む役者たちの表情、父親でも恋人でもない微妙な関係性に震える心をも捉える撮影に見惚れる。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
© Inforg-M&M Film 2019

『この世界に残されて』(ハンガリー)
シネスイッチ銀座ほか全国公開中
https://synca.jp/konosekai/

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