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「今年も睡眠時間を削って全作見た」ハライチ岩井勇気が選ぶ“2020年のベストアニメ”

2020/12/30

 そのクールの全アニメ視聴で知られる芸能界屈指のアニメ好き、ハライチ岩井。コロナ禍の今年も、すべてのアニメを観ているという。そこで再び聞いてみた2020年イチオシの作品、そして彼がもっとも楽しんだアニメとは?(取材・構成:岸良ゆか)

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 2020年は新型コロナウイルスの影響がアニメ制作の現場にもおよび、春以降のクールは多くの作品が放送延期や中断の憂き目に遭ってしまいました。僕が楽しみにしていたアニメが延期になったりもしましたが、それでも各クールに必ず1つか2つは「これは!」という作品があり、例年どおり睡眠時間を削って視聴してしまいましたね。年間を通してさまざまなアニメを見たなかでとくに印象に残ったのは、これまでになかった新しい試みをしているとか、ありそうでなかった設定で意表をついてくる作品です。

©平松市聖/文藝春秋

 たとえば春クールに放送が始まった『ギャルと恐竜』がそのひとつ。主人公のギャルの家に、人間よりひと回りデカいサイズの恐竜が住み着く話で、よくあるほのぼの系のアニメかと思いきや、なんとこの作品、アニメだけでなく実写パートがあるんです。

ギャルと恐竜の関係性にドキドキ

 アニメパートはゆるい雰囲気の作画で、ギャルも恐竜もめちゃくちゃかわいい。一方、実写パートに出てくるのはアニメ版のギャルによく似た女の子と着ぐるみの恐竜で、なぜか見栄晴さんも出演していたりする。ちょっとサブカルっぽさもあるカオスな映像作品に仕上がっていました。

 その斬新な試みが最大の特徴であることは間違いないんですが、僕が個人的にハマったポイントはまた別にあって、ギャルと恐竜の関係性に、妙にドキドキさせられたんです。

『ギャルと恐竜』ノリで始まった恐竜とのルームシェア生活を描く異色アニメ。 ©森もり子・トミムラコタ/講談社・キングレコード

 なぜ恐竜がギャルの家に住むようになったかというと、ギャルが酔っ払って自宅アパートに恐竜を連れ帰ってきたからなんですね。第1話は、朝起きたら家に見知らぬ恐竜がいた……という場面から始まり、ギャルは深く考えずそのままバイトへ行ってしまう。家に帰るとまだ恐竜がいたので「まだいたんだ?」とか言いつつまた泊めてあげて、その翌日は恐竜に「今日もうち泊まるの?」と聞くんです。恐竜がうまく答えられずにオロオロしていると、ギャルが「早く答えろよ、泊まるなら歯ブラシとかタオルとか買わないといけねーだろ!」なんて言って、それを聞いた恐竜の表情がパッと明るくなる。2人のやりとりが、まんま“男が女の子の部屋に初めて泊まるときあるある”なんですよ。

 その後も同居生活を続けるなかで、恐竜は自然とギャルの日常の一部になっていく。バディものとも恋愛ものとも違う、「俺たち付き合ってるの? この関係性なんなの?」が詰め込まれた甘酸っぱい作品として楽しませてもらいました。