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「駅から徒歩5分以内のマンションがいい」という時代は終わった…コロナ時代の「家選び」はどう変わる?

2021年の論点100

2021/03/03

 不動産マーケットは安倍政権が始動した2013年以降、アベノミクスと呼ばれる経済政策などの恩恵を受けて上昇速度を速め、2020年の東京五輪に向けて最高潮となる予定だった。

 ところが20年初めから猛威を奮い始めた新型コロナウイルス感染症が、人々の移動や接触を止め、経済活動の多くにプレッシャーをかけ続けた結果、生活の基盤を構成する不動産にも甚大な影響を及ぼすことになった。

 本稿ではこうした状況をふまえ、21年の不動産マーケットがどのようなものになるかを予測してみよう。

コロナ禍で大打撃を受けた宿泊業界

 コロナ禍の波を最初に被ったのは、ホテルや旅館などの宿泊業界だった。

 19年には年間で3188万人にも及んだ訪日外国人客(インバウンド)需要が消え去ったばかりでなく、国内旅行も出張もなくなったことから多くの宿泊施設が苦境に立たされた。

 政府によるGo To トラベルキャンペーンなどの支援策も、結果として一部の高級ホテルやリゾート、旅館が恩恵を受けただけで、大阪や京都などただでさえ供給過剰気味となっていたエリアを中心に、ホテルや旅館の倒産、廃業が相次いだ。

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 21年は、この業界内の優勝劣敗がさらに進んでいくだろう。そもそもコロナ禍は一過性のものにすぎない。100年前に世界中で大流行したスペイン風邪の例を見るまでもなく、SARSやMERS、新型インフルエンザなども流行は1年を境にほぼ収まっていく。

 人々の移動したいという欲求がなくならない限り、宿泊の需要もあり続ける。したがってこの業界はあと半年の「我慢の季節」である。

 資本力の強いところは生き残り、一方で中小資本は淘汰されていく。大手資本のホテルや旅館からすれば、21年は市場が“整理”され、国内外の旅行やビジネス需要が戻る中、回復を模索する年になると言えそうだ。

 ただし気を付けなければならないのは一気に回復するのではない点だ。インバウンド需要が19年並みになるのは22年から23年頃になる。また国内外のビジネス需要の一部はZoomなどの会議ツールで済ませる動きも顕著になる。ビジネスホテルにとっては厳しい時代がしばらく続きそうだ。