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2021/02/21

日本の政府がやるべきことは?

 実は、菅首相が官房長官だった安倍政権時代から、10年後に来るであろう6G時代に向けて、日本のキャリアやメーカーが世界で存在感を出せるようにと有識者会議が開かれている。

 過去を振り返れば3Gが始まった頃、NTTドコモはW―CDMAという技術で「世界をリードする」と息巻き、実際に最先端を走っていたが、あまりに最先端すぎて、他国がついて来ないという状況に陥った。

 日本のメーカーが通信機器を海外に売ろうとしても誰も買ってくれず、NTTドコモが海外からW―CDMAに対応した通信機器を調達しようとしても、生産台数が少なく高額な製品ばかりを買わされるということになっていた。

 その反省を踏まえ、4Gを開始した際には「トップ」ではなく「先頭集団」に居続けるという立ち位置に変わった。だが、確かに先頭集団であったものの、中国・ファーウェイに見事に抜き去られた。

 2020年。日本の5Gはすでに世界から大きく出遅れている。

5Gに対応したiPhone12シリーズ(Apple公式HPより)

 10月に発売されたiPhoneは5Gに対応した。シャープは2021年春、3万円台の格安5Gスマホを発売する。2021年後半にはほとんどのスマホが5Gに対応し「何も考えずに機種変更したら5Gスマホだった」となりそうだ。

 本来、ここで政府がやるべきは、国内産業を成長させ、世界で戦えるような政策を打つことではないか。「料金の値下げ」という国民ウケする政策を掲げるのは結構だが、通信を中心とする国内産業の活性化という視点に欠けているのだ。

 6G時代に向けて政府や総務省は巻き返そうとしているが、値下げを受け入れれば、キャリアの研究開発費は削られることになる。存在感を出すどころか、ますます中国や韓国、アメリカに取り残されてしまうのである。

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