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「あつ森」「米津玄師」「ベイスターズ」…仮想空間に「新たな経済圏」は生まれるか

2021年の論点100

2021/03/18

 ある企業の衰退と、他の企業の繁栄は、いつも同時にやってくる。2020年は新型コロナウイルスによって、あらゆる産業で勝ち組企業と負け組企業がはっきり分かれた一年だった。

 対面接触を必要とする外食業や、百貨店やアパレルなどの小売業、人の移動の足となる航空や鉄道などの運輸業はマイナスの影響を受けた。

 実際に、大手居酒屋チェーンや百貨店、アパレルブランドなどの20年度通期決算予想は、最終赤字がずらりと並んでいる。一方、こうしたリアルビジネスの受け皿になる形で急成長を遂げた勝ち組企業もある。小売業ではアマゾンやZOZOなどのEコマース勢、外食関連ではフードデリバリーサービスがビジネスを拡大させている。

コロナ禍で百貨店などの売り上げは大きな打撃を受けた ©iStock.com

 ただし、こうした動きはコロナ以前から広がりつつあった。消費者は百貨店ではなくスマートフォンで買い物をするようになり、レストランに足を運ばずに、配達料を支払うことで美味しい料理を自宅で楽しむ人は増えていた。

 つまり、こうした各企業の明暗は、コロナという外圧によって、オンライン化というメガトレンドが加速した結果である。コロナは5年、10年先の未来を早送りで到来させただけだとも言える。

「あつ森」にみる仮想空間による新たな経済圏

 しかし一方で、コロナによってもたらされた新しいトレンドもある。コンピュータネットワーク上に広がる仮想空間での経済活動だ。

 人々は、対面コミュニケーションが強制的に制限される中でも、つながりを求めた。そしてその場所は、リアルな世界から仮想空間に移された。人が集まる場所では、必ずビジネスが生まれる。

 その結果、仮想空間がビジネスプラットフォームとなり、新たな経済圏として注目を集めている。

 その代表格が、任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」だ。あつ森はロールプレイングのように明確なゴールはなく、手付かずの無人島を改築しながら動物たちとのんびり暮らし、オンラインで他のユーザーの島を行き来することで交流を楽しむゲームだ。