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東京五輪は開催すべきなのか? 懸念される“3つのリスク”「追加費用、感染爆発」あと1つは?

2021年の論点100

2021/02/07

 新型コロナウイルスの世界的流行で延期された東京2020オリンピック・パラリンピック。国際オリンピック委員会(IOC)と東京2020組織委員会は延期決定から半年が過ぎても、選手や観客の感染防止対策と追加費用の負担先を明らかにしないまま、なし崩しで開催を強行しようとしている。

 世界最大のスポーツイベントの興行主としての利益を再優先するIOCの驕慢を許せば、「コロナ禍を克服した象徴」としてのオリンピック開催により、日本は3つのリスクに見舞われることになる。

「早い段階でお示ししたい」

 組織委は9月25日に行われたIOCと大会経費削減についての会合後の記者会見で、オリンピック1年間延期に伴う追加費用を公表しなかった。理由として、「コロナ対策をどのようにやっていかなければならないのか、大変難しい課題」が解決していないことを挙げた。

IOCのバッハ会長 @JMPA

 IOCのコーツ調整委員長は会合前、「新型コロナウイルス感染症があろうとなかろうとオリンピックを開催する」と発言し、バッハ会長もワクチンなしの開催に言及していた。

 武藤敏郎組織委事務総長も7月末、英BBCのインタビューで「ワクチンなしで開催できないわけではない」と述べた。3月には「世界保健機関(WHO)の助言に従う」(バッハ会長)と述べていたはずが、IOCも組織委も感染症対策に頬かむりし、開催ありきで動いている。

IOC幹部の強気の裏にはツール・ド・フランスの成功

 IOC幹部の強気の発言は、8月末~9月の自転車レース「ツール・ド・フランス」実施を受けたものだ。100年の歴史の中で、戦争以外で中止されたことがない同大会はコロナ禍で2カ月延期後、開催された。IOCはこれを「成功」と受け止め、バッハ会長は10月7日、「今もスポーツの大会が開かれ、(コロナ下でも)実施できると分かってきた」と述べた。

今年もツール・ド・フランスは実施された @文藝春秋

 だが、ツール・ド・フランスは大会委員長が、コロナの陽性反応で運営から外れ、大会後に「最後までたどりつけないのではないかと恐れていた」と話すなど、実際は見切り発車に過ぎなかった。

 同レースのコロナ対応は選手176人、スタッフの一団を隔離し、定期的なPCR検査を義務付け、7日間で2人が陽性のチームは失格する厳しいものだった。これは、自転車だけの1競技で人数も少ないため可能な対応だったが、それでもスタッフや取材記者に複数の陽性者が確認されている。選手がリタイアしたり、レースが中止されたりしなかったのは僥倖に過ぎない。