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2021/02/11

 リベラルとは、リベラリズムを支持する人々のことだ。

 リベラリズムとは、それまで抑圧されてきた人々を解放して自由を拡大する思想である。古典的なリベラリズムは個人の自由を尊重し、市場メカニズムを重視した。

 しかし、市場を自由放任にしたままでは、大企業による独占や労働者の抑圧、格差の問題が生じる。そこで、弱い立場にある労働者や、貧しい人々の自由を拡大するため、市場への介入や再分配を行う大きな政府による福祉国家型の「ニュー・リベラリズム」が、20世紀のリベラリズムのスタンダードとなった。

 これが、現代において多くの論者が「リベラル」として規定してきた立場である。

 だが、大きな政府は市場の自由や個人の財産権を制限する。それに反発して、政府機能を縮小し、自由を最大限に尊重するリベラリズム本来の在り方を取り戻そうとしたのが「ネオ・リベラリズム」である。

ネオ・リベラリズムが支持を集めやすい理由

 ネオ・リベラリズムが「保守」と結びつくのは、20世紀のニュー・リベラリズムによる福祉国家への改革を、19世紀以前のリベラリズムの姿へと戻そうとするからだ。

 長いスケールで歴史を見れば、ネオ・リベラリズムはニュー・リベラリズムの「進歩」に対する「反動」であるとわかるのだが、現状だけを比較すれば、20世紀に構築されてきた福祉国家を守ろうとするリベラルのほうが「保守」であり、既存の体制を破壊して改革するネオ・リベラリズムこそが「革新」であるように見えてしまう。

 大阪における維新の会への支持の高さからもわかるように、公的支出の削減によってムダを省くネオ・リベラリズム的改革のほうが、庶民からすれば、リベラルの政策よりも「改革」としての見栄えがよく、支持を集めやすい。

松井一郎・大阪市長 ©文藝春秋

 実際には公的支出削減による煽りを食うのは弱者である庶民のほうで、利益を得るのは強者のほうなのだが。