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2021/02/11

日本でリベラルが支持を集めるためにはどうすれば良いのか

 では、日本においてリベラルが支持を集めるためにはどうすれば良いのか。大恐慌以来の経済ショックに見舞われ、世界的に大きな政府への急速な転換が迫られている現在、弱者の権利、自由を守り、拡大する政策が求められているのは確かであり、それを担うべきは、弱者の自由を拡大するための大きな政府を志向してきたリベラルのはずである。

 リベラルはまず、弱者を切り捨てることのないような、自由を拡大する現実的な政策をパッケージングしなければならない。

 現代における弱者とは、貧困者だけでなく、女性や性的少数者、障害者、民族的マイノリティなどが含まれる。

 これら弱者の境遇を改善し、自由を拡大することは、現代のリベラルが担う第一義的な使命だ。一方、マジョリティの貧困を置き去りにすることで、リベラルへの反発が生じ、例えば女性差別のような、弱者への「ヘイト」が生じかねない。そのため、やはりマジョリティも含めた貧困者全般の経済的、社会的境遇の改善が不可欠となる。

ネオ・リベラリズムへの支持は国家への不信?

 貧困者を自己責任論によって切り捨てるネオ・リベラリズム的思考が日本で幅広く支持されるのは、民衆が国家を信頼していないからではないか。

 リベラルな福祉国家は国民の高い負担によって成り立つが、それは国民が国家を信頼し、国家が国民の助け合いの場となっているからだ。

 それゆえ、国民の利益を損なおうとする政権への批判は、「反日」ではなく、国民のための愛国的な行為となる。民主主義とは、選挙や多数決だけでなく、国家をより良くするために対等な立場で議論に参加し、批判や異論を受け入れて自らの態度を変更することもあるような、「生き方」の問題でもある。

「左派=リベラル=反日」ではない ©istock.com

 民主主義国家においては、本来は保守もリベラルも、「私たちの国」をより良くするために異なる観点からアイデアを出し合う点で、共に愛国的なチームメイトなのだ。

「左派=リベラル=反日」という現状の誤ったイメージを覆すのは容易ではない。

 リベラルという語が一般に普及する以前から表立って活動していた面々が、最近の潮流にのってリベラルを装うだけでは、難しいだろう。だからこそ、これまでとは全く異なる新しいボキャブラリーを、新しい人たちが、新しいスタイルで提示する必要がある。

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