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《テレホーダイ25周年》ネットの世界が「健康と引き換え」だった90年代の“あのヤバいサービス”

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 大々的な祝賀こそなかったが、2020年8月に誕生25周年を迎えた長寿サービスがある。NTTが提供する「テレホーダイ」である。

「テレホーダイ」とは、固定電話にオプションとして追加することで、23時から翌8時までの9時間に限って指定した電話番号への発信を定額で行うことができるサービスだ。

 このオプションは通常の音声通話にも利用できたが、通話先に遠隔地を指定できなかったこともあり、主流とはならなかった。テレホーダイが活用されたのは、主にナローバンド(電話回線などを使った低速の通信網)時代、90年代のインターネットである。

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©️iStock.com

ネットに「時間制限」があった90年代

 光回線やADSLなど、今日のブロードバンドプロバイダ(いわゆる「固定回線」)では、容量無制限・常時接続が標準となっている。

 このうち「常時接続」はすっかり死語になってしまったが、2000年にフレッツ・ISDNがサービスを開始する以前は、「自宅のパソコンがインターネットに常時接続している」というのは、まさしく夢のようなことだった。

 90年代に主流だったダイヤルアップ接続(通常の電話回線を使い、音声通話と同じように相手方の番号に電話をかけ、音声信号の代わりにデータ信号を送受信する接続方法)では、プロバイダの契約料金とは別に、NTTに電話料金を払わなければならない。運良く同一市内にアクセスポイント(接続先の電話番号)がある場合でも、この料金が3分あたり10円かかる。

「3分10円」というのは電話代の相場でもあったが、インターネットといえばもちろん、長電話以上の時間泥棒だ。チャットルームやBBS(電子掲示板)の常連になると、1時間や2時間はあっという間に経過してしまう。

1995年にはWindows95も発売された(写真は1995年11月23日) ©️AFLO

 そこで選ばれたのが、1995年に始まった定額通話の「テレホーダイ」だった。対象番号としてプロバイダのアクセスポイントを指定すれば、定額通話対象時間である23時から8時までの深夜帯のみ、格安の定額料金で自由にインターネットに接続することができたのだ。