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連載ネット秘宝を探せ!

「自分の人生って…」ウツウツとした人に届けたい ディズニー&ピクサーの新しい名作

2021/02/16
 

 2020年のクリスマス、ディズニー&ピクサーの最新映画がひっそりとネットで公開された。『インサイド・ヘッド』のピート・ドクター監督による『ソウルフル・ワールド』だ。コロナ禍を受け劇場公開を断念し、ディズニープラスでの配信に踏み切った。

 題名やポスタービジュアルからソウルミュージックやジャズを扱う作品と思いきや、開始10分で予想もしない世界へと誘われる。主人公は子どもたちに音楽を教える中年男ジョー。ジャズ・ピアニストを夢見る彼は人生を変えるチャンスを掴んだ矢先、街中のマンホールへ落下。その刹那、魂が彼の肉体から分離し、生と死を彷徨(さまよ)う存在となってしまう。かくしてジョーは現実世界へ戻る方法を探すため、「魂の世界(ソウルフル・ワールド)」で相棒の“こじらせソウル”と旅に出る。荒唐無稽な設定から名作を量産してきたピクサーだが、今回はまさかのスピリチュアル系バディ・ムービー。だが、これがどうして、終わらないコロナ禍で荒んだ私たちの魂を癒やしてくれる新時代の『クリスマス・キャロル』とも言うべき大傑作なのだ。

「人生とは、幸せとは何か」を本作は擬人化した魂を通して描く。劇中に登場する魂たちは心が動かされ、夢中になれるもの、すなわち「きらめき(スパーク)」を探している。好きなもの、魅了されるものは人によって千差万別。きらめきに触れると魂は時間を忘れてゾーンに入る。一方で、大人になると何をするにも「◯◯のために」という目的や意味を求めてしまいがち。それが魂の呪縛となり“迷いソウル”になるというのだ。

 仕事や家事に追われる日々から一転、コロナ禍のステイホーム中にふと「自分の人生って……」と考え、鬱々とした人も多いだろう。そんな人にこそ見てほしい本作。明石家さんまさんの座右の銘「生きてるだけで丸儲け」のなんと深いことか。改めて魂に沁みるはずだ。

INFORMATION

『ソウルフル・ワールド』
https://disneyplus.disney.co.jp/program/soulfulworld.html

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