文春オンライン
モーニング娘。を変えた“3年半のもがき”…高橋愛率いる「プラチナ期」が伝説と呼ばれるワケ

モーニング娘。を変えた“3年半のもがき”…高橋愛率いる「プラチナ期」が伝説と呼ばれるワケ

2021/02/19
note

 まずハロプロ楽曲を聴くところから1日が始まる私にとって、たまらなく楽しみにしていた映画が公開される。ハロプロファンの青春を描いた「あの頃。」!

 ああ、私の「あの頃。」はいつなのだろう。コンビニで初聴きし、フリーズするほど感動した「サマーナイトタウン」。ASAYANでなぜか修行っぽいことさせられていた中澤裕子さんのソロデビュー「カラスの女房」が驚くほどいい曲で、買いに行ったっけ。友達に貸したアルバム「セカンドモーニング」、結局返ってこなかったけど、いいのよいいのよ。今でも愛され聴かれていますように。太陽とシスコムーンは永遠だよね……。

 などなど今でも曲を聴けば鮮明に甦るハロプロに彩られた日々。今回は、そのなかでも異質な輝きを放っていた「プラチナ期」の恋愛ソングを軸に、タイムマシンの針を合わせてみようと思う。

ADVERTISEMENT

【動画】プラチナ期の“名曲”「泣いちゃうかも」MV
 

「シャボン玉」的なの、もっと下さい!

 なぜプラチナ期なのかといえば、私が最も繰り返し見ているMVが「泣いちゃうかも」「しょうがない夢追い人」「なんちゃって恋愛」の3曲だからである。

 ASAYANオーディション期から彼女たちの活躍を見つめていたが、どんどん人数もユニットも多くなり、嬉しい反面、戸惑いも出て来ていた。2002年あたりからハロプロ全体の急成長に「おおう楽しいけど追いつくの大変!」。モーニング娘。が2003年2月に発表した「ひょっこりひょうたん島」のカバーは、このままどこに向かうのかとドキドキもした。

 が、それでも「シャボン玉」「大阪恋の歌」「SEXY BOY ~そよ風に寄り添って~」といった好みど真ん中の名曲をポイントポイントでぶっ放してくれるので、結局舞い戻るという繰り返し。

 ちょうど2000年初期から中頃は、歌姫ブームやバンドが元気で、表現や世界観がどんどん賢く美しくなっていった時代。人生の応援歌的な楽曲が急増した反動なのか、当時の私は、昭和のアイドル歌謡のような、恋愛をして浮かれポンチになっている女の子の楽曲に飢えていた。その心を潤してくれていたのが、モー娘。や松浦亜弥をはじめとしたハロプロニューウェイブ、大塚愛といった存在だったのだ。特に、昔から好きだったモー娘。のダサカワイイ恋愛ソング、もっと来い、もっと来いと祈り続けたのである。

“プラチナ期”に当たる「モーニング娘。コンサートツアー2010秋」最終日。(手前から)亀井絵里、光井愛佳、道重さゆみ、ジュンジュン、田中れいな、新垣里沙、リンリン、高橋愛

「ここにいるぜぇ!」や「愛あらばIT'S ALL RIGHT」も好き。が、「シャボン玉」的なの、もっと下さい。「ギュッとして、抱きしめてよ!」の石川梨華のセリフに、近藤真彦「ブルージーンズメモリー」の「サヨナラなんて言えないよ、バカヤロー!」以来の鳥肌を覚えた。あのベッタベタな衝撃をもっと! もしくは「Do it! Now」の「約束の口づけを原宿でしよう」のような、アラフォーの私の心のカユイところに手が届く的固有名詞入りの陶酔ロマンスしてる歌、ください! 

2009年の“奇跡の三連発”

 そんな私の願いが届いたかのように、2009年ドカンと来たのが「泣いちゃうかも」「しょうがない夢追い人」「なんちゃって恋愛」の三連発。高橋愛率いる9人のパフォーマンスから、絡みつくような粘着性が滲み出ていて、一気に引きこまれた。女の子の面倒臭さに溢れていて最高!

 すでにファンの間では、「つんく♂はオッサンの着ぐるみを被った乙女」という共通認識があったが、改めてマジだと唸った。どうしてここまでわかっちゃうの女の子の気持ちが。