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特集文春マルシェ

「なんてすごいカレーを食べてしまったんだ」…高級焼肉割烹「雪月花」の〆カレーは別次元だった

文春マルシェ「美味随筆」〜お取り寄せの愉しみ#13 雪月花カレー 〜

2021/03/06

 食は人の営みを支えるものであり、文化であり、そして何よりも歓びに満ちたものです。そこで食の達人に、「お取り寄せ」をテーマに、その愉しみや商品との出会いについて、綴っていただきました。第13回は肉マイスターの田辺晋太郎さんです。

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 2020年10月末に銀座にオープンした焼肉割烹「雪月花 銀座」。

 オーナーシェフの田中覚氏は岐阜県揖斐郡大野町にある精肉店に生まれ、3歳の頃から店の手伝いをして高校時代にはすでに肉を骨から抜く作業を習得していたという生粋の肉職人。その後押しも押されもせぬ勢いで肉業界を席巻し食通たちの心を奪った田中氏率いる雪月花グループは岐阜県以外に店舗を出してからおよそ5年という時間でとうとう銀座のど真ん中に居を構えた。

 まずは肉割烹である「肉屋田中」、そして満を持して「雪月花 銀座」が誕生したとあれば肉マイスターたるもの当然のことながら伺うのが筋というもの。おすすめのコースは忘れられない素敵な肉体験となった。

 純但馬系神戸ビーフや松阪牛をメインに使った焼肉は料理人が備長炭で焼き上げる間違いないクオリティ、そして4時間かけて出汁をとる神戸ビーフのスープや田中氏の母の味だという八丁味噌の風味が生きている牛テールの煮込みもすべてが一級品だ。

 

 その中でも一番思い出深かったのは締めのカレーライス。

 話にはずっと聞いていたが、こちらの締めで出るカレーがべらぼうに旨い。

 もう別次元、アナザーワールドだ。

 ご馳走肉をたっぷり頂いたあとなのに覚醒したようにお腹が空いてしまう魔性の香りは「別腹」というチャクラを開かせる力がある。いや、むしろ米が足りなくなるほど旨すぎるので米蔵を開放しなければならないかもしれないほどだ。

 そんな「魔性のカレー」がレトルトカレーとなってご家庭でも楽しめるっていうんだから世の中まだまだ捨てたもんじゃない。

 カレーのスタイルで言うならばこれは欧風というものだろう。ドロッとしたルーの中に溶け込んだ大量の肉を容易に見つけることができる。この肉が只者ではないのが雪月花カレーの一番の強み。