12月12日には朝日新聞が、坂井学官房副長官の会食時の発言として「所信表明の話を聞きたいといって呼びながら、所信表明にない学術会議について話を聞くなんて。(略)NHK執行部が裏切った」と語ったことを報道。菅官邸のNHKへの怒りは周知の事実となった。このころから、局内では水面下で“有馬降ろし”が始まったという。
「辞めさせられそうだ……」
「各局の夜のニュース番組は、『news23』(TBS系)の小川彩佳アナや『news zero』(日テレ系)の有働由美子アナなど、軒並み女性キャスターがメイン。そのため、前政治部長の山口太一編集主幹が『9も和久田アナをメインに据えるべき。男性キャスターは補佐役で良い』と言って、局内で根回しを始めたのです。有馬氏を降板させれば、官邸の人事介入やNHK側の忖度が疑われるのは自明だったため、カモフラージュの意味合いもあったのでしょう。山口氏はこうした小細工を思いつくタイプではないため『菅官邸と近い正籬聡副会長や小池英夫理事の入れ知恵ではないか』と冷ややかに見られていました」(前出・NHK関係者)
こうした動きを察知したのか、昨年11月頃から有馬氏は周囲にこう漏らしていた。
「辞めさせられそうだ……」
そして事実、有馬氏の降板が決定したのだ。
後任には元ワシントン支局長の田中正良氏の就任が発表されたが、こちらもドタバタの起用だったという。
「田中氏は今夏の人事で国際部長か中国総局長への異動が確実視されていた。ところが有馬氏の降板で、急きょ白羽の矢が立ったのです。ただ、4月からの新体制では山口氏の根回し通り、和久田アナがメインとなり、田中氏は補佐役に回る予定です」(同前)
一方、有馬氏の次のポジションは未定だという。本人は何を思うのか。放送を終えた有馬氏を直撃した。