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91歳で退任 スズキ・鈴木修会長「客の動線を見れば経営者の資質がわかる」

2021/03/08

 スズキの経営トップを40年以上務めてきた鈴木修会長(91)。2月24日の会見で6月の株主総会をもって代表権を返上し、相談役に退くことを表明した。

 修氏は2代目社長・俊三氏の長女と結婚し、スズキ入り。とんとん拍子で出世し、1978年に48歳の若さで社長に就任した。83年には他社に先駆けてインドに進出。5割のシェアを占める一大市場に育て上げた。社長就任当時、約1700億円だった売上高は現在、約3.5兆円。世界で知られる大企業となった。

会見の最後に「バイバイ。バイバイ」と手を振った ©共同通信社

 それでも「中小企業のオヤジ」を自認。販売店の家族構成まで知り尽くし、気軽に声を掛ける姿勢は変わらなかった。親交の深い元議員は、酒席でのこんな言葉が印象に残っている。

「客の動線をよく見ておくように。動線を見れば店が繁盛するか、経営者の資質が高いか低いか分かるから」

 自らは「勘ピューター」と謙遜するが、実際は細かな点まで目配りする精緻な経営だったことが窺える。

 そんな鈴木氏にとって、長い間、悩みの種は「後継者」問題だった。

「スズキでは2代目、3代目、そして4代目の修氏まで代々鈴木家の娘婿が社長に就いてきた。京都の商家のような事業承継だったのです」(スズキ関係者)