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「『僕を殺しにくればいい』と彼は言った」“植物状態”の息子を介護して9年 被害家族が有名経営者・辻敬太氏にいま訴えたいこと

交通事故 法廷外の戦い

喧嘩腰で「僕を殺しにくればいい」

辻氏《ずっと我慢してましたがこれ以上は訴訟おこしますね 色んなところに書きこみしてますよね?》(2020年5月4日)

辻氏とAさんの父親のFacebookでのやりとり

 辻氏とAさんの父のメッセージはこのように続いている。

父《おこしたら、謝罪はどうなってるんや》

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辻氏《わかりましたおこしますね》

父《謝罪は 家の現状見てもないのに 息子の姿》

辻氏《謝罪だけして済むものではないですし法的な罪は僕は償いましたしお金も払いました もちろん今でも決して忘れてません でも僕も前向きに生きなくてはいけないです》

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辻氏とAさんの父親のFacebookでのやりとり

 このやりとりのあと、Aさんの父と辻氏は電話をすることになった。

「彼は喧嘩腰でした。『僕にどうせいっていうねん』『僕を殺しにくればいい』などの言葉はハッキリ覚えています。逆に、謝罪に来るとか息子の現在を気遣うような様子は一切ありませんでした」(Aさんの父)

Aさんの父は「法的な天罰下るか分からん」とメッセージ

 同時に、夫妻は「色んなところに書き込み」をしたという点について、自分たちの落ち度を認めてこう話している。

「辛い気持ちをどこかに吐き出したくて、誰にも見られるTwitterやブログに辻氏のことを書き込んだこともありました。書き込み始めたのは彼が経営者として派手な生活をし始めた2015年、16年頃からです。ダイレクトメッセージの言葉遣いも、丁寧とは言えないものだったでしょう。夫が、《そのうちに法的な天罰下るか分からんなぁ》(2017年9月11日)、《お前そろそろええかげんにせーよ!》(2020年4月11日)などのメッセージを送ったのも事実です。

辻氏にA氏の父親が送ったFacebookのメッセージ

 辻氏が法的にはすでに罪を償っていることはわかっていましたが、それでも気持ちを抑えられなかったのは私たちの至らなさです。でももし、彼が10年のあいだに謝罪に来てくれたり、せめて手紙だけでも送ってくれていたら……私たち家族の気持ちも息子を支えることだけに向いていたかもしれません」(Aさんの母親)

 辻氏とAさんの父が話した数カ月後の2020年9月〜10月頃、Aさんの母も辻氏とインスタグラムのダイレクトメッセージでやりとりをしている。

「事故からちょうど9年が経った9月11日に彼のインスタグラム配信があり、楽しそうに話す彼を見ていたらどうしても腹が立ってしまって、『今日何の日か覚えてる?』『なぜ謝罪に来ないのか』というコメントを送りました。その後に、辻氏からダイレクトメッセージが送られてきたんです」(Aさんの母親)