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「『やっぱり教習所行こう』の投稿はすぐ消した」若手経営者・辻敬太氏が語った交通事故“被害者との諍い”の真実

「償いは自分のタイミングでする」

genre : ニュース, 社会

「裁判以降、彼から謝罪を受けたことは一度もありません。私たち家族はずっと、息子への謝罪と、息子がいまどんな毎日を送っているのか彼に知って欲しいだけです」

 2月4日、Yahoo!ニュースに「車に衝突され、意識不明の息子 9年半介護続ける両親の割り切れぬ思い【親なき後を生きる】」という記事が掲載された。書いたのは、ジャーナリストの柳原三佳氏だ。

 2011年9月に起きた交通事故で遷延性(せんえんせい)意識障害(いわゆる植物状態)となったAさん(27)の家族が、9年半にわたる介護生活と事故加害者への複雑な心中を語ったものだ。記事掲載後、事故の加害者である当時22歳の青年が、人材育成家としてテレビなどでも活躍する有名若手起業家・辻敬太氏(31)であることがネットの炎上から明らかになった。

辻氏「10年前に事故を起こしたことは事実です」(2021年2月27日 YouTubeより)

 辻敬太氏は、経営コンサルティングや投資事業を手掛けるEARTHホールディングス株式会社の代表取締役社長。人材育成家として「じっくり聞いタロウ」(テレビ東京系)などに出演するほか、地元の関西では「辻敬太のハピジャパ」(KBS京都テレビ)でメインコメンテーターを務めている。「人生巻き込んだ者勝ち」(万来舎)などの著書もある、いま注目を集める若手経営者だ。

 その辻氏が、2月27日には自らYouTubeチャンネル上で事の顛末を語っている。

《事故を起こしたのは事実です。(被害者の)お父さんお母さんに、今も謝罪の気持ちはもちろん、本人にも謝罪の気持ちは忘れていませんし、この10年間忘れたこともないです》(2021年2月27日 辻敬太氏YouTubeチャンネルより)

 文春オンライン特集班は、Aさん一家を取材。そこでAさんの両親が語った10年間の積年の思いが冒頭のコメントだ。辻氏に取材を申し込むと、「全て話します」と辻氏が五反田の雑居ビル8階に所有するコワーキングスペースを指定された。(#1よりつづく)

早口の関西弁で語り始めた辻氏

 取材当日、記者がエントランスをくぐると、辻氏が整髪料などで固めていない髪型に紺色のラフなトレーナー姿で現れた。レンガ調のシンプルで開放感のある部屋で数名のオンラインサロンメンバーが作業中だったが、辻氏は「ちょっと出てて」と指示をしていた。

 男性スタッフ1人と共に、辻氏は記者と対面で席についた。10年を振り返って何を語るのか。辻氏は、記者から目を離すことなく、質問に被せるように早口の関西弁で語り始めた。

家族がAさんの介護をはじめて、もうすぐ10年が経つ ©文藝春秋

――2011年の交通事故と、その後のことについて辻さんにお話を聞きたいと思って来ました。

「いいですよ。じゃあ質問してください。全部答えますよ、嘘なしで、包み隠さず。でもね、はっきり言いたいのは、これ僕が一般人やったらわかるんですよ。でも僕結構いいキャラ持ってるんすよ。今インスタ上で、僕がヒーローみたいになっちゃってるんですよ。得でしかないんですよね。信者の人も増えているし、かっこいいです、という声も聞こえてくるし。

 僕がこの10年間積み重ねて来た信用って思ってるより大きかったんだな、と。さっきも上場会社の社長さんが電話してきてくれて。結局、みんな味方なんですよ。でも、これって僕が10年間、人のために生きてきた結果なんだと思うんです」

――事故被害者のAさんに対して、辻さんはどう思われていますか?

「そりゃ申し訳ないと思ってますよ。そんなの当たり前じゃないですか」

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