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特集文春マルシェ

「鴨鍋を取り寄せたから食べに来ない?」父と母と愉しむ“スモール新年会”

文春マルシェ「美味随筆」〜お取り寄せの愉しみ#14 一湖房の合鴨鍋 〜

2021/03/13

 食は人の営みを支えるものであり、文化であり、そして何よりも歓びに満ちたものです。そこで食の達人に、「お取り寄せ」をテーマに、その愉しみや商品との出会いについて、綴っていただきました。第14回は元ライフネット生命保険取締役会長の岩瀬大輔さんです。

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 コロナは日本社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速化させたというが、正月早々ごく身近なところでそれを体感した。

 長らく実家で開催されていた父の親族(5人兄弟)の新年会が初めて Zoom上で開催されたのである。本DXの最大の受益者は総勢数十名のもてなしを準備する労から解放された両親だったはずだが、代わって二人はバラエティ番組の司会者よろしく画面上の叔父叔母従兄弟たちに気を使いながらあくせくコメントをふっていた。

 

 少し時を置いて両親を自宅に招いて小さな新年会を催すこととした。ここで初めて「週刊誌のお取り寄せ」を経験することになる。3年目になる香港駐在で「名店からの出前」はすっかり日常化したし、コロナ禍で国内でも星付き店の料理が自宅に届くようになった。つまり「外の料理を家に篭って食べる」という行為自体は習慣化しつつある。

 それでも、中高年向け週刊誌によく見かける「お取り寄せ」のページに関心を持つことはなかった。時折美味しそうな商品もあるが、広告企画なのかバイヤーが本気で選んだものなのか区別がつかない。何より「年寄りの嗜み」というイメージが拭えない。 

 

 そんな「お取り寄せバージン」だった私が縁あって「文春マルシェ」に初挑戦することになった。両親来訪に合わせて選んだのが「秋冬限定 一湖房の合鴨鍋」。「鴨鍋を取り寄せたから食べに来ない?」は多様な場面で使えそうな魅力的な誘い文句だ。最近気に入ってストックしてある国産「タケダワイナリー」のスパークリングや赤とも合いそう。