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「渡辺直美をブタ=オリンピッグに」東京五輪開会式「責任者」が差別的演出プラン

 3月25日に聖火リレーのスタートを控える東京五輪。その開会式の責任者が、出演予定者の渡辺直美をブタとして演じさせるプランを提案し、関係者から批判を受けて撤回に追い込まれていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。一連のやり取りを示すLINEを入手した。

 このプランを提案したのは、開会式の演出を指揮する「総合統括」を務める佐々木宏氏(66)。電通出身のCMクリエイターで、これまで缶コーヒーBOSSの「宇宙人ジョーンズ」シリーズやソフトバンクの「白戸家」シリーズなど、数多くのヒット作を生み出してきた。

開会式を仕切る佐々木氏 ©共同通信社

 もともと東京五輪・パラリンピックの開閉会式の演出は、能楽師の野村萬斎氏を総合統括とし、佐々木氏や映画監督の山崎貴氏ら8人の演出企画チームが担う予定だった。ところが、大会組織委員会は昨年12月23日、大会運営の見直しに伴って演出チームを解散し、佐々木氏を新たな総合統括に起用することを発表している。

 その佐々木氏は昨年3月5日、五輪開会式の演出を担うメンバーのグループLINEに以下のようなメッセージを送っていた。

◎=渡辺直美
への変身部分。
どう可愛く見せるか。


オリンピッグ●
歴史を振り返るというより、過去
大会ハイライトシーンを、
どうワクワクする様に見せるか。
(註・◎=ブタの絵文字、●=ブタ鼻の絵文字)

渡辺をブタに見立てたLINE

ブヒー ブヒー/(宇宙人家族がふりかえると、宇宙人家族が飼っている、ブタ=オリンピッグが、オリの中で興奮している。)

空から降り立つ、オリンピッグ=渡辺直美さん

 この提案に、女性のメンバーが〈容姿のことをその様に例えるのが気分よくないです/女性目線かもしれませんが、理解できません〉と投稿。他の男性メンバーからも〈眩暈がするほどヤバい〉と反対の声があがり、提案は撤回された。

 佐々木氏は「週刊文春」の取材に対して、次のように説明した。

「僕はすぐにダジャレを言うので、口が滑ったように言ったこと。可愛いピンクの衣装で舌を出して『オリンピッグ』と。これで彼女がチャーミングに見えると思ったんですが、その場で男性スタッフにえらく叱られた。反省しています」

佐々木氏と野村萬斎氏 ©共同通信社

 国際PR論が専門の国枝智樹上智大学准教授が語る。

「人を動物に喩えるのは、差別に繋がるリスクを伴う表現です。最近では『スッキリ』がアイヌを犬と表現して炎上したほか、2008年には携帯電話会社のイーモバイルが、猿がオバマ米大統領の真似をして演説するCMを放送し、批判が殺到して放送中止になりました。さらに、海外では『プラスサイズモデル』のように多様な体型を尊重する考え方も広まっている。五輪のような場で太っている女性を豚に喩える演出は、『日本はやはり差別的だ』という世界の怒りを招きかねません」

 東京五輪を巡っては、森喜朗氏の“女性蔑視”発言が国内外から批判を浴び、組織委員会の会長を辞任した。後任に就任した橋本聖子氏は、女性登用に取り組んでいる最中だ。そうした中で、五輪最大のイベントである開会式の舞台で日本がどのようなメッセージを打ち出すのか、世界中が注視している。それだけに、開会式の責任者が、女性出演者を差別的に扱う演出プランを提案していたことは、論議を呼びそうだ。

女性登用に取り組む橋本会長 ©共同通信社

 さらに、「週刊文春」の取材では、本件に加えて、開会式を巡る混乱が続いていることも判明した。

 3月17日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」及び18日(木)発売の「週刊文春」では、3度に渡る開会式責任者の交代、その結果、森氏と電通の代表取締役を後ろ盾とする佐々木氏が前任の女性責任者を“排除”し責任者となった経緯、膨れ上がったセレモニー予算の浪費など、大混乱に陥っている開会式の内幕を内部文書やLINEに基づいて、計8ページにわたって詳報する。

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