昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

菅原も黒川も「起訴相当」で問われる検察と記者のあり方

「最強の捜査機関」と呼ばれた東京地検特捜部。そんな特捜部を取材対象とする検察記者。両者が鎬を削っていたのも今は昔――。

 菅原一秀前経産相が選挙区内の有権者に香典などを渡していた公職選挙法違反事件。東京第四検察審査会は3月12日、検察が不起訴(起訴猶予)とした菅原氏について「起訴相当」と議決したと発表した。特捜部が再捜査して再び不起訴としても、2回目の審査で審査員11人中8人以上が起訴を求めれば、菅原氏は強制的に起訴される。

菅首相に近い菅原氏 ©共同通信社

 最近の検察は政治家案件の場合、官邸の顔色を窺いがちだ。何かと理屈をつけて不起訴としたものの、検審に持ち込まれ、結局、起訴される例も目立つ。では、そうした検察の弱腰を検察記者が厳しく監視できているかと言えば、心もとない。

 それが浮き彫りになったのが、菅原氏の起訴相当を報じた朝日新聞13日付朝刊だ。記事によれば、19年10月に男性が告発状を提出したが、地検は昨年6月になって「具体的な事実が特定されていない」と告発状を返却。約2週間後、独自に捜査した事件として不起訴とした。検察の対応を検審は「疑問を抱かざるを得ない」と批判。告発者でないと検審に申し立てる資格がないため、検審は男性の申し立てを却下した上で、代わりに職権で審査する異例の形をとったという。

 しかし、本来なら、検察が「検審逃れ」という姑息な手段を取ったことを、検察記者はいち早く掴み、厳しく報じるべきではないか。ただ、発表を垂れ流すことだけが仕事ではないはずだ。