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SNSのコンビニスイーツ写真に「自慢するな」…クソリプを送る人の心境は?――漫画家・海野つなみの悩み

あなたのお悩み、脳が解決できるかも?

2021/03/26

 みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えします。

中野信子さん ©文藝春秋

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Q なぜ、わざわざ相手にわかるように腐すのか?――漫画家・海野つなみからの相談

 以前、ツイッターでコンビニスイーツを買ったツイートをしたところ、「自慢するな」というリプが来ました。もっとお値段の高いレストランで食事をしたツイートもあったのに、コンビニで? と驚き、たぶんこの人は私を腐したかっただけだろうと思いました。

 そういえば、素敵なカフェをグーグルマップで検索してクチコミを見てみたら「イキった店員とイキった客の店」みたいなのがあり、「言い方! おしゃれって基本そうでしょ!」と思ったこともありました。

 何かを腐すことはもちろん自分だってありますが、相手に聞こえないようにします。わざわざ相手に聞かせに行くという加害の気持ちは、どういうスイッチで起こるのでしょうか?

最新回は発売中の「週刊文春WOMAN 2021年 春号」に掲載中

中野信子の回答

A 腐す対象を見つけ、引きずり下ろすのが自分たちの使命である、とさえこの人たちは無意識に思い込んでいます。この原動力となる感情が「シャーデンフロイデ」です。いわゆる「他人の不幸は蜜の味」です。

 シャーデンフロイデは快感なので、これを一度味わった人は、標的を探すのが目的化していきます。その快感が欲しくて、誰彼かまわず標的を探し求め、その相手にダメージを与えようと、攻撃を繰り返すのです。

 相手にわかるように腐すのは、ダメージがあったことを確認して喜びたい(シャーデンフロイデを感じたい)からです。そして、彼らはより攻撃的に、より相手へのダメージが大きくなるように、言葉を選んでいくのです。

 シャーデンフロイデは誰もが持つ感情ですが、普通はこんな感情を自分が持っていると感じたら、それを恥ずかしく思って気持ちを打ち消そうとしたり、隠しておきたいと思ったりしますよね。

 しかし、匿名性が保証された言語空間では、恥ずかしさやうしろめたさを持つきっかけがなくなってしまうのです。大っぴらに相手の幸せを攻撃していい、と言われているも同然の状態がつくりだされてしまう。