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《便意、「後回し」にしていませんか?それが続くと…》自己診断が“危険”な便秘 免疫強化にもなる「自分でできる」対策

2021/03/28
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 いわゆる“コロナ禍”で色々な不調を呈する人が増えている。

 よく知られているのが「うつ症状」だが、ここに来て意外な症状に悩む人が増えているという。「便秘」だ。

 新型コロナウイルス感染症の症状の一つに「消化器症状」があるが、ここでいう便秘はそれとは別モノ。外出自粛やリモート勤務で自宅滞在時間が伸びたことで運動不足になり、腸も運動不足になって便の滞在時間も伸びている、というのだ。

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外出自粛やリモート勤務で自宅滞在時間が伸びて運動不足になり、結果、腸も運動不足になっているという ©iStock.com

「便秘くらい」などと甘く見るのは危険だ。下手をすると……、今回はそんなお話。

便秘の自己診断は「危険です」

 腸の症状というと、男性は下痢、女性は便秘、というケースが多い。

 もちろんその逆の人もたくさんいるが、一般的にはそうした傾向がある。

 女性に多い理由としては「黄体ホルモン」に代表される女性ホルモンが便秘に関与する、という面もあるようだが、それ以外にも便秘の原因は多様だ。

「たしかに便秘は女性と高齢者に多い症状です。それほど心配しなくていいものもあれば、早急な治療が必要なケースもあるので、自己診断は危険です」

 と語るのは、千葉県野田市にあるキッコーマン総合病院特任院長で、東京理科大学客員教授の久保田芳郎医師(専門は消化器外科)。

「危険なほう」の便秘:器質性便秘って?

 まずは便秘の医学的な分類から解説してもらう。

久保田芳郎医師

「便秘は大きく2つに分けられます。1つは器質性便秘、もう1つは機能性便秘。機能性便秘は様子を見る余裕がありますが、器質性便秘であればすぐに何らかの医療介入が必要になります」

 危険なほうの器質性便秘とは、炎症などによって腸管に狭窄ができて便が通過できない、あるいは通過しづらい状態のこと。炎症の原因としてもっとも懸念されるのが、大腸がんだ。

「大腸がんの場合は“便秘と下痢を繰り返す”という症状を見せることが多い。これに血便が見られたら、急いで検査(大腸内視鏡検査など)を行う必要があります」(久保田医師、以下同)

 器質性便秘には他にも、潰瘍性大腸炎やクローン病などがあるが、いずれも腸管の一部が狭くなっていることが原因。その原因を突き止め、早急な治療が求められる。