昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

大橋未歩「女子アナは競争心が強いよね?」に「男性アナの方がライバル心すごいですよ」と答えた“私の本心”

「文藝春秋」4月号「巻頭随筆」より

2021/03/26

「私の中にも森さんは住んでいる」。これは、森喜朗氏が放った女性蔑視発言を受けて、私が生放送で言ったことである。もし私がマスメディアに身を置いていなければこんなことを言うこともなく、蔑視発言に断固抗議の声を上げたかもしれない。

大橋未歩さん ©文藝春秋

 森氏の発言をニュースで耳にした当初、私はゾッとするような憤りを覚えた。「わきまえろ」ってどういうこと? ニューヨーク・タイムズが報じたとも聞き、日本の恥さらしじゃないかとさえ思った。

「女子アナは競争心が強いよね?」と揶揄された時

 しかし、森発言の中身をよくよく見たとき、今度は全く違う意味でゾッとした。私も以前、彼とほとんど同じ発言をしていたことに思い当たったのだ。

森喜朗氏

 森前会長は「女性は競争心が強い。だから次々に発言して会議が長引いて困る」と言った。実は私はある番組で「女子アナは競争心が強いよね?」と揶揄された時「男性アナの方がライバル心すごいですよ」と返したことがあったのだ。悲しいかな、これは本心だった。男性アナ同士のいさかいを見たこともあったからか、そんな認識が私の中で定着していた。「男性アナ」で括って、「競争心が強い」と断じる。立場が違うから批判されなかっただけで、私の中にも森さんと同じような差別意識が存在しているのかと不安になった。