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2021/03/26

マスメディアに身を置くものとして、自己点検をしたかった

 もちろん、今回の森発言をきっかけに女性が団結し、声を上げたことは重要だ。このような闘争を繰り返して、誰もが生きやすい社会が少しずつ構築されていくに違いない。しかし、ここで自己点検の姿勢を失うと、いつの日か手にする「平等な世界」が新たな差別に溢れてしまいやしないだろうかと不安になる。

 だから私はマスメディアに身を置くものとして、まず自己点検をしたかった。「私の中にも森さんは住んでいる」と。よほど気をつけないと、自分も差別の当事者になりうる危険性を社会と共有したかったのだ。

©iStock.com

 ちなみに発言したのは「5時に夢中!」(TOKYO MXテレビ)という番組内でのこと。この番組の出演者は、どんな少数意見だとしても本音で話す。そして、正義側に身を置かず、過去の失敗談を包み隠さず話して人間の愚かさを笑う。世間の物差しから言えば失言が売りの番組だから、視聴者にも出演者の発言を疑いながら観るという視聴習慣が根付いている。「5時に夢中!」と視聴者との間に存在する「信用しないし、信用させないという信頼関係」は、マスメディアにおける良心のひとつだと私は思っている。

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 大橋未歩さんの寄稿「私の中にも森さんは住んでいる」は、「文藝春秋」4月号の「巻頭随筆」と「文藝春秋digital」に掲載されています。

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