文春オンライン

SKE48チームリーダーからラリー選手権へ アイドルが山道へ舞台を変えたワケ

梅本まどかインタビュー #1

2021/04/01

「サーキットって簡単に走れるんだよ」

 レース関係者の言葉で背中を押されたのは、元SKE48メンバーの梅本まどかさん(28)。

 2016年に23歳でアイドルを卒業し、現在はタレント、MC、そしてコ・ドライバー(ドライバーの隣に乗車して、ハンドルは握らずドライバーのナビゲーションをする人)として全日本ラリー選手権(チームWellpine Motorsport、カテゴリJN6、トヨタGRヤリスRS)に参戦している。

ADVERTISEMENT

 きらびやかな衣装を着て歌やダンスを披露していた舞台から一転、ヘルメットを装着してハードな山道を駆け抜ける舞台に変わったのはなぜか。そもそも当初は「ラリー」(一般公道を走る競技)という言葉すら知らなった梅本さんだったが、どのような経緯で大会に出る側に回ったのだろうか――。

梅本まどかさん ©今井知佑/文藝春秋 

観戦予定のはずがコ・ドライバーに

――アイドル卒業前からモータースポーツを観る側ではなく、乗る側で考えていたのですか。

梅本 いえいえ、まさか自分が乗るなんて思ってもみなかったです! あのスピードと道路のコンディション。いつ大事故がおきてもおかしくない状況の中、“ここで引けない!”というドライバーさんのメンタルや、投資されているお金もすごいじゃないですか。そんな熱いバトルを外野から観ているだけで満足で、自分が参戦したいとはまったく思わなかったですね。そもそも、当初はラリーっていうもの自体知らなかったですし。

――そこからなぜ、コ・ドライバーとして活躍することになったのですか。

梅本 SKE時代から時々モータースポーツ関連のお仕事をする機会があったんです。卒業してさらに興味が広がってくると、プロの方から「サーキットって簡単に走れるんだよ」って教えてもらい、驚きましたね。

 しかし、ドキドキしつつも周りの方に背中を押されてまずはチャレンジ。初めにダンロップのディレチャレ(DIREZZA CHALLENGE)という、タイムアタック(コースの周回タイムを競うレース)に出ると、企画でプロのドライバーさん指導のもとサーキットを走ってみたり、エコレースといって速さだけでなく低燃費を考えたレースに参加したりと、いくつか初心者向けのレースに出てみました。「自分でも運転できるんだ!」と嬉しかったですね。

 

 一方で、自分が運転してみて改めてドライバーさんの凄さも実感したし、ドライバーとしてやっていくには相当練習も知識も磨かないと難しい。でも、車のことをもっと知りたい……! そう思ったときに、ラリーには、ドライバーではなく、「コ・ドライバー」というものがあると教わったんです。コ・ドライバーとは、ハンドルを握って運転はせず、ドライバーの隣でナビゲーションする人。さらにドライバーよりコ・ドライバーの方が枠が空きやすいと聞き、「面白そう! やってみたいです!」と言うと、「ちょうど空いてるから、今年やる?」と。