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“超一流の見本”田中将大からエースの振る舞いを学べ

文春野球コラム ペナントレース2021

 プロ野球が開幕した。予定通り3月26日に開幕した。昨年、史上初の中止となった春のセンバツも今年は無事に有観客で行われている。東日本大震災から10年、選手宣誓は東北地区から選出の仙台育英・島貫丞主将。

『当たり前だと思っていた日常は誰かの努力や協力で成り立っていた』

 島貫主将が言うように当たり前なんてなかったんだと。これ以上何を望む。そうだ。頑張れ選手の皆さん!! これでいいはずだ、いいはずなんだ。

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 しかし、センバツでの仙台育英の快進撃、そして今年の楽天イーグルスのチーム事情を考えると、考えると……浮かれすぎて僕フワフワしてまうねん。もう一度言う。僕フワフワしてまうねん。

 そう、プロ野球も今年は東北の年になるのではないかと。

マー君の加入で、一番大きな収穫

 そんな矢先、田中将大が右ふくらはぎ(ヒラメ筋)損傷とのニュースが飛び込んできた。幸い軽傷で3週間程で戻ってくるらしい。責任感の強い選手だけに無理しないように祈りたい。ゆっくりゴールデンウイーク明けくらいで充分である。もちろん早く背番号18を観たいファンは沢山いるけれども、誰も無理して投げる姿はみたくない。

 甲子園からの帰り道、

「マー君、計算狂いましたね?」

 と話しかけられた。僕を楽天ファンと知っての高校野球ファンからの一言だった。

 その場では泣いたふりして

「ハンカチ貸してー」

 なんてつまんねー返しでお茶を濁したけど……(戦力的には)全然大丈夫なんです。これほんまに思ってますっ! ゆっくり焦らずマー君には怪我に悩まされるチームメイトにこうやって調整するんだという姿を見せてほしい。

田中将大

 マー君の加入で、一番大きな収穫は『超一流の見本』がチームに現れたこと。

 ソフトバンクがなぜ強いのか? 投手陣も野手陣もその選手層の厚さを語られるが、選手達はどうして育ったのか? その答えは超一流の見本がいる。これは大きな要素ではないだろうか。

 ホークスの頂点には王貞治氏の存在があり、弟子の小久保裕紀氏、その背中を追いつづけた松田宣浩がいる。37歳にして最強ホークスでスタメンを張り、そのポスト松田を狙って現在若手がしのぎを削っている。

 それは野球の技術的な事ではない。試合前の準備から、グラウンド外での人との関わり方、オフの過ごし方まで、細かい事を言えば、こういった食事会はこのくらいで切り上げてホテルに帰るんだ!……etc。そのすべての所作が超一流を作り上げているのではないだろうか。

 イーグルスにも田中将大という『超一流の見本』が現れたのだから、特に何色でもないルーキー達はその姿からエースの振る舞いを学ぶチャンスなのだ。

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