昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

水不足で半導体産業ピンチ……台湾の降雨を世界中が願う理由

2021/04/05

 昨年から雨に恵まれなかった台湾が、数十年ぶりの渇水に見舞われている。民進党の蔡英文政権は4月から給水制限に踏み切る構えだが、心配されるのが、大量の工業用水を必要とする半導体産業への影響だ。

 台湾には世界の半導体受託製造(ファウンドリー)の半分以上を供給する台湾積体電路製造(TSMC)がある。同社は多数の給水車を手配済みとして「水不足がただちに生産に影響を与えることはない」と火消しのコメントを出した。もし減産となれば世界の製造業が大ダメージを受けかねず、台湾の降雨を世界が祈願する状況に陥っている。

TSMC創業者の張忠謀前会長 ©共同通信社

 コロナ禍によるゲーム機やパソコンなどの需要増で世界的に半導体不足への懸念が広がる。自動車から戦闘機まで半導体抜きには動かない。その半導体製造で、サムスンやインテルを抑えて世界の先頭を行くのがTSMCなのである。

 同社は米中対立の争点にもなっており、争奪戦が激しい。米国はトランプ政権時代にアリゾナ州へ5ナノの製造工場の誘致を発表。日本もつくばに研究拠点を置くことになった。各国から半導体供給への協力打診が相次ぎ、台湾政府もTSMCに増産を求めたが、反応は冷たかった。「増産の余地は当分ありません」。注文は数年後まで一杯だからだ。