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「予防医学は報われない」 “腐女医”のさーたりさんがコロナ禍で伝えたいワクチンの“実態”

『感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた』より#2

genre : ライフ, 医療, 読書

 感染症やワクチンに関心が高い今こそ、ウイルス、ワクチンについて知ってほしい。そんな思いから、『腐女医の医者道』シリーズなどの著書がある消化器外科医のさーたりさんが、ウイルス専門の小児科医の中山哲夫さんと、感染症やウイルスについてマンガで解説した書籍が『感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた』だ。実の親子でもある2人のやり取りを通じて学べる同書より、ワクチンの“光と影”を紹介する。

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新型コロナウイルス感染症

 2019年の暮れ中国で「謎の肺炎」が流行っているような情報がありました。当初は重大なことになるとは思いませんでした。驚いたことは数日のうちに遺伝子情報が解読され2002年から2003年に流行したSARSに近いウイルスとわかり新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と名付けられたことでした。春節を前にした民族の大移動の映像を見て大変なことになりそうな予感がありました。

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 感染が拡大し、特異的な治療薬やワクチンもなく素手で戦っている現状は、まさにスペイン風邪の流行した時代と同じです。当時のその時代、内務省からの流行性感冒予防心得によると今でいう密集・密接・密閉の3密を避けマスクをつけるようにと勧告されています。