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コロナ禍のピンチをSDGs実現のチャンスに。ジャパンSDGsアクションフェスティバル開催!

genre : SDGs

 2015年9月、すべての国連加盟国が全会一致で採択したSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)。 美しい地球を次の世代に引き継いでいくために、いま取り組まなければならない17個の目標(ゴール)と169個のターゲットが掲げられ、2030年までにその達成を目指している。

 目標達成まで残すところあと10年。2020年1月、国連はSDGsへの取り組みをさらに加速させようと、「行動の10年」を打ち出した。その矢先、世界は新型コロナの感染拡大という思いがけない脅威に直面することになる。パンデミックの終息がいつになるのか、まだ先が見えない状況のなか、はたしてSDGsは実現できるのか……。

コロナ禍でわかった脆弱な社会

 逆に、厳しい状況だからこそ、SDGs実現のチャンスが生まれる。いまこそみんなで知恵を出し合い、一人ひとりがどのようなアクションを起こすべきか議論しようと、2021年3月26日・27日の両日、「コロナ禍からの復興と行動」をテーマに掲げ、官民連携の大規模シンポジウム「ジャパンSDGsアクションフェスティバル」がオンラインで開催された。

 初日のオープニングセレモニーでは、主催者を代表してジャパンSDGsアクション推進協議会会長・蟹江憲史慶應義塾大学大学院教授が挨拶に立った。この推進協議会は、民産官学が一体となってSDGs実現に向けたアクションを広げていこうと、昨年夏結成された、いわば“SDGsの日本代表チーム”だ。「コロナ感染拡大は社会の様々な負の側面をあぶりだしています。これからコロナ禍の復興を進めていくうえで、持続可能性がより重要になってくることでしょう。そのときの道しるべになるのがSDGsです。みんなで力をあわせて、よりよい強靭な社会をつくっていきましょう」。蟹江会長は力強く開会を宣言した。

ジャパンSDGsアクション推進協議会会長の蟹江憲史氏。日本のSDGsの第一人者だ。
ジャパンSDGsアクション推進協議会会長の蟹江憲史氏。日本のSDGsの第一人者だ。

国連から届いた熱いエール

 今回のジャパンSDGsアクションフェスティバルには、国連からもメッセージが寄せられた。アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長とアヒム・シュタイナー国連開発計画総裁からのビデオメッセージだ。モハメッド国連副事務総長は、今回のCOVID-19によるパンデミックがSDGs達成に暗い影を投げかけていることに言及した。しかし「危機からチャンスは生まれる」と続ける。「世界が今ほど自らの弱点を認識し、それに対処する能力を備えたことはありませんでした。今こそ変革のときであり、勇気を奮い起こし行動するときです。『行動の10年』を通じて、この熱い気運が日本全国に広がっていくことを期待します」。シュタイナー総裁も日本に期待を寄せる。「世界各国はコロナ禍を乗り越え、よりよい未来を築くために具体策を模索しています。日本は画期的な技術と大胆な社会変革で実現されることでしょう。わたしはSDGsに対する日本の人々の知識と熱意に敬意を表します」。

現在の国連副事務総長である、アミーナ・J・モハメッド氏からもビデオメッセージが寄せられた。
現在の国連副事務総長である、アミーナ・J・モハメッド氏からもビデオメッセージが寄せられた。
アヒム・シュタイナー氏が総裁を務める国連開発計画(UNDP)は、世界の開発課題解決に向けて取り組んでいる
アヒム・シュタイナー氏が総裁を務める国連開発計画(UNDP)は、世界の開発課題解決に向けて取り組んでいる

“いのち輝く”神奈川はSDGs最先進県

 今回オンラインで開催されたアクションフェスティバルは、実は昨年11月横浜みなとみらいを会場にリアルイベントとして開催される予定だった。2018年「SDGs未来都市」ならびに「自治体SDGsモデル事業」に選定された神奈川県にふさわしい企画だったのだ。挨拶に立った黒岩祐治神奈川県知事はSDGsについてこう語った。「キャスター時代、わたしは2年間にわたって救急医療のキャンペーンをやりました。さらに、聖路加病院理事長の日野原重明先生が企画・原案のミュージカル『葉っぱのフレディ』では、わたし自身プロデューサーを務めました。そういった経験を通じて、わたしは“いのち”というものの意味をずっと考えてきたわけです。10年前、神奈川県知事に就任したときも、まず掲げたのは“いのち輝く 神奈川”というスローガンでした。いのちを輝かせるためには、医療だけでなく、環境や経済や教育や様々なものがリンクしていなければならない。いのち輝くーVibrant“INOCHI”、それはまさにSDGsそのものなのです」。

キャスター時代に取材した経験が、SDGsに関心が向くきっかけとなったと語る黒岩祐治神奈川県知事。
キャスター時代に取材した経験が、SDGsに関心が向くきっかけとなったと語る黒岩祐治神奈川県知事。

「自分ごと化」することが大切

 黒岩知事は挨拶のなかで「自分ごと化」することの大切さを訴えた。一人ひとりの生活の中で、今日からできることはたくさんある。それを見つけてほしい。その小さなアクションが社会を変革するちからになっていくのだ、と。オープニングセレモニーで国連開発計画親善大使の紺野美沙子さんやシンガーソングライターのピコ太郎さん、さかなクンとともに、メッセージが披露したSDGs People第1号の女優・創作あーちすと・のんさんも、普段から「自分ごと化」を意識しているという。「SDGs17のゴールのなかで、まず気になったのは12番目の“つくる責任 つかう責任”でした。そこで始めたのが、着なくなったTシャツをリフォームしてバンドのステージ衣装にすることでした。いま流行りのアップサイクルですね。みんな可愛いと言ってくれます」。

左上から時計回りにのん、ピコ太郎、紺野美沙子、さかなクンの4氏。それぞれの立場でSDGs活動をしている。
左上から時計回りにのん、ピコ太郎、紺野美沙子、さかなクンの4氏。それぞれの立場でSDGs活動をしている。

みんなでつくろう みんなの未来

 蟹江憲史会長、国連広報センター・根本かおる所長、宮田裕章慶応大学医学部教授によるオープニングトークセッションに引き続き、2つのチャンネルからテーマ別セッションが配信された。基本テーマは、「気候変動」「貧困と格差・いのち」「ユース世代・ジェンダー」「持続可能な金融システム」「ローカライゼーション」の5つ。文藝春秋もジャパンSDGsアクションのメディアパートナーとしてセッションに参加した。新谷学週刊文春編集局長と関龍彦FRaU編集長・プロデューサーとのトークセッションでは、「SDGsの伝え方」というテーマで、週刊誌と女性誌という枠をこえてメディアの“伝える責任”について意見が交わされた。

週刊文春編集局長の新谷学とFRaU編集長の関龍彦氏はそれぞれのメディアのSDGsの伝え方の特性と未来を話し合った。
週刊文春編集局長の新谷学とFRaU編集長の関龍彦氏はそれぞれのメディアのSDGsの伝え方の特性と未来を話し合った。

 2日間で配信されたトークセッションの数は20。全国各地で行われている具体的な活動事例や、いま抱えている課題をみんなで共有しようということで、どのセッションも中身の濃いものとなった。2030年に向けた「行動の10年」。コロナ禍のいま、オンラインで行われた今回のジャパンSDGsアクションフェスティバルは、一人ひとりがいまそのスタートラインに立っていることを実感させてくれるイベントだった。

*ジャパンSDGsアクションフェスティバルのアーカイブはこちら。
https://www.japan-sdgs-action-festival.jp/live/

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