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2021/04/26

ジェンダー平等にふさわしい組織でなければ、大学は硬直したまま

 大学教員のジェンダー平等については、国立大学の方が力を入れている。国の政策を反映させねばならないのが一つの理由だが、人事に余裕があるのももう一つの理由だ。ぎりぎりの人数で動かしている私立大学では、退職した教員のポストは、同じ分野や専門で埋める必要がある。特に理系研究者に女性が少ないので、専門を限って募集すると男性ばかりになるのだ。しかし女性の入学者は増加している。ジェンダー平等にふさわしい組織にしておかなければ、大学は硬直したままになる。

写真はイメージ ©iStock.com

 退任後、常務理事会も副学長組織も男性ばかりになるだろうか、と危惧した。しかしバイリンガルで外国籍の女性教員が常務理事兼副学長になってくれた。理事会にも初めて女性が入ることになった。事務のトップである本部長には以前から、大変有能な女性本部長がいるが、継続してくれた。そして女性学部長の数が歴代で最高の4人になった。学部長会議の女性比率は約27%である。こうしてほんの少しずつ、変わっている。

インタビューで「女性総長であることで、困ることはありませんか?」

 在任中、マスコミのインタビューでよくされる質問があった。「女性総長であることで、困ることはありませんか?」である。「男性であることで困ることはありませんか?」などと聞かれる男性の総長も学長も社長もいないだろう。何を想像しているのか疑問に思いながら「全くありません」と答えてきた。「女性であることを意識しましたか?」という質問もあった。「全くしていません」と答えた。なぜなら総長とは地位や権力を意味するのではなく、仕事の種類につけられた名称だからだ。どこかのポストをまかせられたら、そのポストの役目を果たすべく全力を尽くす。当たり前のことだ。男も女もない。個人の問題だ。ただし総長という仕事は、就く人の専門や思想や性格や得意不得意によって、表現の幅や色合いが異なる。それは個性の違いであって、性差ではない。