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JR大阪駅の“プロレスリング”みたいなホームドアが夢の“どこでもドア”に進化するらしい――2020 BEST5

2021/05/21
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2020年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。地域部門の第3位は、こちら!(初公開日 2020年5月18日)。

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 以前、大阪駅を訪れたときに驚いた。いくつものホームが並ぶ巨大なターミナルのおおよそ真ん中あたり、5番のりばに行くとホームの端っこになんだか格闘技のリングロープのようなものが張られていたのだ。おや、これはこのホームは使わないってことなんですかね……。と思っていたらすぐに電車がやってきて、扉が開くとともにそのロープが頭上にポーンと跳ね上げられた。で、そのロープの下をくぐるようにしてお客が乗り降りをしているのだ。

JR大阪駅。右側のホームドアをよく見ると、黄色と赤色のロープが上がっている
こちらがJR大阪駅6番のりばの「昇降式ホーム柵」

なぜJR大阪駅は“リングロープ”なのか?

 このリングロープ、正しくは「昇降式ホーム柵」というらしい。読んで字の如くというか、つまりは柵の部分が昇降するホームドア。一般的なトビラが左右に動くスタイルのホームドアは可動式ホーム柵といい、これは大阪駅5番のりばの反対側、6番のりばに取り付けられている。東京や他のあちこちで見かける最も一般的なホームドアだから物珍しいものでもないだろう。ところがリングロープのような昇降式はなかなか珍しい。

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電車が到着して停車するまではロープは下がったままだが……
電車のドアが開くタイミングでロープが上がり、乗り降りができるようになる

「ああ、あれは車両のトビラの位置が変わっても対応できるようにということで開発したものです。もちろんちょっと押したりしたくらいではビクともしませんし、センサーで安全確認もしています」

 JR西日本の広報に尋ねるとこう返ってきた。そして話には続きがあるようで……。

こちらは6番のりばの向かい、5番のりばのホーム。一般的な「可動式ホーム柵」だ

「実は、あれよりももっと面白いホームドアを作っているんです。開口部を自由自在に動かすことができるタイプで、昇降式ホーム柵と比べても車両への対応の自在性が増しているものなんですよ」