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「人生で大事なのは学歴・肩書じゃない」暴言騒動から4年、コロナ禍で再始動した豊田真由子の“結論”

豊田真由子さんインタビュー #2

2021/05/09

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, ライフスタイル, 教育, 社会, 政治

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 日本の大学の最高峰「東京大学」に初めて女性が入学したのは1946年のこと。それから75年――。時代と共に歩んできた「東大卒の女性たち」の生き様とは。

 1997年に東大法学部卒業後、厚生省(現・厚生労働省)に入省した元衆議院議員の豊田真由子さんは、国費留学生としてハーバード大学大学院で公衆衛生学を修め、2009年の新型インフルエンザパンデミック時には、WHOを担当する外交官として、ジュネーブで対応に当たった。

 政治家に転身、2017年には秘書への暴言で騒動になったが、失墜を経て、コロナ禍で公衆衛生や政治行政の専門家として、情報番組への出演や執筆活動などで再び脚光を浴びるように。それまでの足跡と、現在の心境について伺った。(全2回の1回目/#1から続く)

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豊田真由子さん

◆ ◆ ◆

後進の女性たちに迷惑かけないように、がんばらなきゃ

――厚労省時代、頑張りが認められてハーバード大学大学院への国費留学というのは、男性でも滅多にない立場ですよね。

豊田 人事や評価の面では役所は平等で、女性だから差別されていると感じたことはないです。ただそれは、ようやく私の代になってからで、人事課の方に「女性は、採用しても辞めてしまう。留学に出すと辞めてしまう。だから、あまり採用も留学もしてこなかったんだよ」と言われて。留学する女性は私で2人目で、しかも1人目の方はすぐ辞めてしまったと。もちろん、辞めるつもりなんてなかったですが、そうか、後進の女性たちに迷惑かけないように、がんばらなきゃな、とは思いました。

 民間はもっと大変そうでしたよ。東大の同級生で民間企業に行った女の子は、半分から3分の2くらいは割と早い段階で辞めていたと思います。企業も採用時は世の中が男女平等とうるさいから女性を採用するけど、戦力とは思っていないようなところがあったと思うんです。就職活動の時に初めて皆、男女って平等じゃないんだと思うんじゃないですかね。

民間企業に就職した同級生たちが、直面した現実

 

――そうですね。就職活動で実感して、入ってまた実感してという。

豊田 そうそう、もちろんみんな頑張ろうと思って入社するわけですが、戦力と思われていない、期待されていないという現実に直面して、続けられなくなっちゃうんだと思います。皆優秀なのに本当にもったいないですよ。例えば新聞社に入った子は今は大学で教鞭を執っていて、都銀に入った子は資格を取って独立しています。あとは転職ですよね。

――97年卒の同級生でも、男性だったら恐らくそこまでの割合で転職していないですよね。

豊田 はい、今は転職も珍しくないですけど、あの頃は「えっ、会社辞めちゃうの!?」とびっくりされる時代ですから。