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東京から約2時間…ゴールデン街に入り浸っていた「都会の夫婦」が“異世界”に移住して気がついたこと

田舎暮らしは異世界だった? 移住したひとに聞いてみた

2021/05/08
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 東京から電車に乗って2時間足らず。通勤圏内といえばいえなくもない、そんな首都近郊の地方都市に、クマガエさんとルキノさん夫婦は暮らす。

 田んぼの世話をし、ときにはカフェで旨いコーヒーを飲み、何か用事があれば東京に出ることも多い。いわば、田舎暮らしと都会暮らしのハイブリッド。

 特に2人にとって、田んぼは生活の中心だ。昨年は友人と共同で400kgを超える米が穫れたという。もちろん夫婦2人で食べるには充分すぎるので、家族や友人にも分けたとか。都心からそう離れていない田舎町での田んぼ生活――。

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クマガエさん(左)とルキノさん ©鼠入昌史

 都会での生活に疲れた人たちにとっては、ちょっとした憧れでもある“田舎暮らし”。それをつぶさに描いたのが、マンガ『漫画編集者が会社を辞めて田舎暮らしをしたら異世界だった件』。講談社のマンガ誌『イブニング』に連載中で、コミックスの第1巻が4月23日に発売されたばかりだ。【※公開中の漫画はこちら

 今回、原作を手掛けるクマガエさんとコスプレイヤーとして活躍していた妻のルキノさんの2人に、話を聞いた。そもそも、2人には田舎暮らしへの憧れはあったのだろうか。

きっかけは仕事上の変化

「まあぼんやりとしたものはありましたよ。映画とかテレビで田舎の風景を見たりして、例えばジブリの『トトロ』を見たりしていいなって。でも、実際に暮らしてみたいというまでは……(笑)」(クマガエさん)

 もともとクマガエさん自身もマンガ編集者として働いていた。ルキノさんとともに暮らしていたのは東京・渋谷区。まさに大都会の真ん中で、都会暮らしをエンジョイしていたのだ。ところが、担当していたマンガ誌が休刊。それをきっかけに田舎暮らしという選択肢が浮上したのだという。

東京で働いていた頃のクマガエさん(クマガエさん提供)

「雑誌が休刊になって、会社を辞めようかなあと考え始めたときくらいから、田舎で自分で食料を自給しながら、小さな生業をみつけて自分で生きていく、そういう生き方もあると知ったんです。会社に頼らずに生きていけるならそれもいいのかなと」(クマガエさん)

 ただし、この時点では明確な田舎暮らしを思い描いていたわけではないという。むしろ、米や野菜を育てることへの興味が先行していた。

「米とか野菜を育ててみるのもいいなと。そうなると、東京に住み続けるより、もう少し田舎に住んだほうが田んぼも近いし家賃も安いしいいんじゃないか、って。そう考えているうちに準備が整ってしまって、行ってみようと。でも、ぶっちゃけ行ってみてダメなら戻ってくればいいと思っていたんですよ。田舎暮らしが合わなければ東京に戻ればいい。東京はいつでも受け入れてくれる街だから(笑)」(ルキノさん)