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「根暗で自信がなくて、そういう自分が嫌だった」  18歳のシンガーAdoが渋谷のビジョンで「うっせぇわ」を見た日

「根暗で自信がなくて、そういう自分が嫌だった」  18歳のシンガーAdoが渋谷のビジョンで「うっせぇわ」を見た日

Adoインタビュー#1

Ado

2021/05/12

 

——小学生の頃に好きだった曲には、たとえばどんなものがありました?

Ado 小学1年生ぐらいの時に聴いていたのは「悪ノ娘」とか「ワールドイズマイン」とか、本当に初期のボーカロイド曲ですね。歌い手さんにハマり始めた当時は『カゲロウプロジェクト』が大人気で流行っていて、『カゲプロ』の楽曲をカバーしている歌い手さんたちを何十人も聴いていたので、その影響はとても大きいと思います。あとは、初投稿する曲をどれにしようかと迷ってた時期がありまして、その時にお洒落で格好いいなと思って選んだのがクワガタPさんの「君の体温」という曲でした。

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【Ado】うっせぇわ(公式YouTubeチャンネルより)

 

歌だけで人を魅了してるのがすごいと思っていた

——どんな歌い手さんに憧れていましたか?

Ado そらるさんやまふまふさん、お二人のユニットのAfter the Rainも好きでした。他にも、りぶさん、ウォルピスカーターさん、96猫さん、天月さん、伊東歌詞太郎さんなど、挙げていったら時間がなくなるくらい沢山います。

——歌い手のどういうところに憧れたんでしょうか?

Ado やっぱり、顔も名前もわからないのに、歌だけで人を魅了してるのがすごいと思っていました。歌い手って、今の私のアイコンみたいに、キャラクターのイラストが自分として認識されるんです。アニメもボカロも好きだったので、そういうスタイルにもすごく憧れていました。

——Adoさんの魅力は、歌声の表現力にあると思います。迫力のある声から繊細な声まで、様々な歌声の表現が持ち味になっている。そういうことにご自身で気付いたタイミングはいつ頃のことですか?

写真はイメージ ©️iStock.com

和田たけあきさんの「キライ・キライ・ジガヒダイ!」

Ado 和田たけあきさんの「キライ・キライ・ジガヒダイ!」という曲を歌ったときですね。この頃から、がなったり、激しく地声で張り上げる感じを始めたんですけれど、これが自分に合ってるんじゃないかと思って。最初にこの曲を投稿した時に、何かが掴めたんじゃないかという感じがありました。

——和田たけあきさんは、言葉を選ばずに言うと、悪意のようなネガティブな感情をストレートに表現するタイプのボカロPですよね。彼の曲によってAdoさんの何らかの扉が開いたような感覚はありましたか?

Ado ありました。特に「キライ・キライ・ジガヒダイ!」は、自分の心情をまるまるそのまま歌詞にしたような曲だと思ったんです。「アァ!愛されたい!愛されたい!」のところとか、私自身もずっと一人で活動していて、再生回数が伸びないことに悩んでいたり、孤独だと感じる時があって。根暗で人にズカズカ行くタイプではないし、それこそ自我が肥大したようなわがままな気持ちもあるし、そういうところに深く共感しました。