昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「当たり前の医療ができない」「仲間を守れるのか」大阪・看護師たちの悲鳴

 新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増え続ける大阪府。累計死亡者が1700人を超え、今なお入院もできず、自宅やホテルでもがき苦しむ重症者が数多く存在する。5月上旬の7日間の大阪府の死者数は人口100万人あたり22.6人。インドの同16.5人を上回っている。その最前線に立つ看護師たちの本音とは――。

 大阪府内の病院の救急科で日夜、重症者対応に追われる看護師・Aさんが現状を吐露する。

「私たちが限界と言ったらいけない……そんな思いでなんとか踏ん張っていますが、正直言ってしんどいですよ。できることならもう辞めたい。疲れた……。通常の3倍、4倍の業務量なので、日勤も遅くまで残業したり、16時間にも及ぶ夜勤は普通、仮眠を2時間ほど取れるのですが、それも取れていません。17時に入って、入院対応や急変対応しているうちに気がつけば午前0時になっているとか、酷い日は午前3時、4時になっているなんてこともざらです。一度も休憩せず、飲み食いもせず、忙しすぎてトイレに行くのさえ忘れることも。もう滅茶苦茶な状況です」

赤く染まった通天閣

 大阪市内の民間病院で働く看護師・Bさんもこう語る。

「毎日、毎日、不安の中で働いていて、感情のコントロールができなくなってしまっている。定時にはもちろん帰れません。時間外勤務が増え、基本的には朝8時45分から夕方5時半までの勤務ですが、5月に入り重症者が増えてからは8時半とか9時になることも。師長も、深夜24時くらいまで残って対応しています。コロナの重症患者の方に加えて、一般の重症患者も見ているので、そうした患者さんの退院調整やマネジメントもある。師長にはそこに職員の感情面のフォローも重なって相当な負荷がかかっています。とにかくマンパワーが足りません。加えて、4月は新人が入ってきている。新人教育をしながら、慣れないコロナ患者さんも診なければいけないんです」

 こう激務の状況を打ち明けるのだ。

「実際のところ、みんな、いつ辞めよう、いつ辞めようと思いながら、自分が辞めると益々周りが大変になるから言い出せなくて、辞められずにズルズル来ているような状況です」

大阪医科薬科大学病院のICU

 もちろん自身や家族への不安もある。

「自分たちも伝染るんじゃないかという不安感はあります。特に第4波以降は急変する患者さんが増えており、今まで以上の緊張感を強いられる。これまで1年以上頑張ってきましたが、終わりが見えないどころかさらに追い打ちをかけられている状況です。急変の割合が第3波の比じゃないのに加えて、感染力がすごく高い。ちょっとした間違いで自分も感染するんじゃないかという不安は常に消えません。若手もベテランも何とか気を張っていますが、ちょっとしたことで泣いてしまう看護師も多い。患者さんの命ももちろん大切ですが、一緒に働いている仲間をどうしたら守れるのか、悩みながら日々を過ごしています」

 過酷な環境の看護師たちをさらに悩ませているのが、「看取り」だ。