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「所得が下がり、物価が上がる」コロナ日本経済が陥るスタグフレーションの恐怖

ワクチンが行き渡るころに待っているのは、「焼け野原」からの復興か

2021/05/14
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 俺たちの菅義偉政権、NHKでも内閣支持率が35%(不支持は43%)と過去最悪になってしまい、弾除けとして機能してきた森喜朗という護符が失われたいま、大変なことになっております。

 なんせ、東京オリンピックの開催強行は大前提としたうえで、国民がコロナワクチン接種で長蛇の列をなして、クソ重い予約サイトを連打している最中に「来日するオリンピック選手にはワクチンを優先接種」と報じられると泣きたくなります。国民の生命とスポーツ大会とどっちが大事なの? と素朴な疑問を抱く人たちも多いからでしょう。

 他方、コロナによる経済低迷から脱却しようと各国がジャブジャブに供給したマネーは宙を舞い、そもそも経済低迷しているので利益を出せる事業や技術も特にない状態であるがゆえに不動産や証券にお金が集まって高値になるという、いわゆる「資産バブル」の時代が到来したのが2020年の夏ごろからです。

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 足元には「もう一度、ひとり10万円の給付金を!」と求める左翼も叫ぶなか、飲食店や流通業の廃業と共に不振業態が吸収していたパート、アルバイトなどの非正規雇用が続々と雇い止め・解雇となったため、皮肉なことに国民の平均賃金が上昇に転じるという事態まで発生しました。

在宅経済の流れは世界中で

 日本政府もやるべきことはそれなりにちゃんと矢継ぎ早にやってきました。持続化給付金や家賃補助のほか、コロナ経済は事実上の戦時経済のような状態となってしまいましたが、感染症が問題なのだから仕方がないんですよ。家からなるだけ出ないようにしよう、接触を減らして人流を増やさないようにしようという感染症対策は巣ごもり需要を増やし、駅前経済が沈没するのも仕方がないことです。

 この在宅経済の流れは日本だけでなく、アメリカでも欧州でも拡大して、いまやアメリカでは空前の戸建て建築ラッシュとなりました。出歩かないんだからお家におカネをかけよう、都市部の狭いマンションではなく便利な郊外・地方での広い一軒家でゆったり暮らそうという動きが出るのも当然のことです。日本人もアメリカ人もみんな考えることは一緒ですね。