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2021/05/20

source : 文藝春秋 2013年12月号

genre : エンタメ, スポーツ

ちゃんこ作りも厳しく

武蔵川 でも稽古の時は厳しいよ。いつも短パンにTシャツだけど、稽古場でまわし姿になると空気が一気に重くなるって言われる。厳しいけど、コミュニケーションをしっかり取らないといけないと思ってる。そうしないと、弟子の性格や、考え方が、わからない。だから昼と夜のちゃんこは一緒に食べる。僕はいちいち口うるさいよ。ちゃんこを作るのも、今の子はすごい量を作って余らせたりするから、「ちゃんと人数や他のおかずの量を計算して、ちゃんこを作る時でも頭を使え。土俵でも頭を使わないと、強くはなれないんだ」とね。そこから教える。

©文藝春秋

貴乃花 うちも、せっかく戴いた差し入れをそのまま放置していることがあると、「食べ物があるだけありがたいと思え」って。一番最初にガッンと言うところだな。

武蔵川 なんでこの差し入れがあるかも、わかってない。「師匠が外で頭を下げてるからだぞ。毎日、人に会いに出掛けてるのはお前たちのためなんだよ」って言いたい。僕だってゆっくり、『笑っていいとも!』見たいよ(笑)。場所中も、「俺はこれから仕事に行くのに、こいつらなんで昼寝してるんだ」と思って、午後1時からのBS中継で、「先輩方の相撲を見て勉強してろ!」と。

今の相撲界は、横綱の相撲もおもしろくない

貴乃花 本当にそうだよね。マルちゃんが部屋を興したのが、すごくうれしいんだ。弟子たちが師匠の思いをいち早く汲み取って、その姿を見て「この師匠のために強くなろう」と、血へどを吐くくらいの猛稽古を見せてくれるようになってほしい。「それくらいしなきゃ師匠のようになれないんだ」と思ってほしいよ。「異国から海を渡って来た師匠の苦労は、君たちとは比較にならないくらいだぞ」って理解してもらいたい。もちろん、師匠として自分の弟子を育てるだけじゃダメで、この時代は相撲界全体で育てる気持ちでないと。みんなで上に上がっていこうという思いもあって、言うんだけど。

©JMPA

武蔵川 うん……。それにしても、今の相撲界は、大関とか三役の周りの力士がもっと頑張らなきゃいけないのは確かだけど、まず横綱の相撲もおもしろくないんだ。「これが結びの一番か?」って。普通なら横綱って、もっと力強い相撲を取るべきなのに、叩いたり引いたりが多いんだもの。力は持ってるはずなんだから、前へ出る相撲を取らないと、優勝回数がいくら多くてもファンは満足できないよ。

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