昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : 提携メディア

genre : ニュース, 政治, 社会

「コロナ交付金で巨大イカ建立」世界中からネタにされた能登町の公金感覚を問う

賛否が分かれた主な要因は、町が設置費3000万円のうち2500万円もの巨額を、国が自治体に配る新型コロナウイルス感染症対策の地方創生臨時交付金から捻出したためだ。町は、昨年7月の町議会で設置費を盛った予算案を提出し、定数14の町議からの反対意見はなく可決された。

町は「国の活用例メニューに合う」との説明に終始

直後は大きな話題にならなかったが、同12月の町議会で完成イメージ図を公表すると、新聞各紙や全国放送のワイドショー番組などで、各地のコロナとの関係が不透明な臨時交付金の使い道の一つとして取り上げられた。この時点で町民からは「コロナとイカのモニュメントにどんな関係があるのか」「医療従事者や介護施設など、コロナ禍で差し迫った支援が必要なところに手厚く使う道もあったのでは」といった設置に反対する意見が上がっていた。

「コロナ対策の臨時交付金でなぜイカの像に3000万円もの大金をかけるのか」。町の担当記者として、こうした率直な疑問がぬぐえなかった。町ふるさと振興課担当者は、完成前の取材に「新型コロナウイルス感染症収束後の観光誘致に効果が期待できる」と説明。国が示した臨時交付金の幅広い活用例のうち「地域の魅力の磨き上げ事業」に合致すると判断したという。

加えて、近年スルメイカ水揚げ量が急速に減少する小木港を守りたいとの思いもあったと強調した。長年主な漁場としてきた能登半島沖の日本海の好漁場「大和堆(やまとたい)」周辺では近年、中国や北朝鮮による違法操業が急増。資源量自体の減少もあり「コロナ禍で魚価も落ち込む中、消費の面から漁師を支える意義もある」と話した。

町側は「国の活用例メニューに合う」との説明に終始。必要性の低い事業に予算をつぎ込む無駄遣いや、コロナ禍への便乗ではないかとの疑念は晴れなかった。

完成後の大型連休には4000組の観光客が来場

ただ各報道による予期せぬ「宣伝」効果もあったのか、完成後の4、5月の大型連休中は4000組ほどの観光客らが来場しにぎわった。しかし、BBCが冒頭のネット記事を、北陸中日新聞など日本国内の報道を引用する形で掲載すると、この問題が海外にまで知れ渡ることとなった。