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「コロナ交付金で巨大イカ建立」世界中からネタにされた能登町の公金感覚を問う

「国からの交付金は、使えるものなら使ってしまおう」

別の町議も「町から出された予算案を、深く審議せず通してしまう雰囲気がこれまでもあった。当選を重ねる中で『なあなあ』になり、初心を忘れてしまった議員も多いのではないか」と打ち明ける。加えて「過疎化や人口減少が進み自主財源が縮小し続ける町では、『国からの交付金は使えるものなら、もらえるものなら使ってしまおう』との意識もあった」と言う。

地方自治体に巣くうこうしたモラルの欠如による慢性的なチェック機能不全が今回、露出した形だ。

全国で臨時交付金の使い道が議論となる中、この巨大イカのモニュメントがとりわけ海外に波及するまでの大騒ぎになったのはなぜか。SNSで話題を発信した都内の30代男性は、取材に「他の地味な活用事例と違って写真のインパクトもあり、ネットやテレビで『ネタ』にされやすい題材だったのでは」と分析する。

海外でも同様の視点があるようだ。5月上旬にイカの駅を取材に訪れた、ドイツのニュース制作会社「ラプリーTV」に所属する日本人の女性記者(43)も「ヨーロッパでは、感染症対策の交付金との是非としての論点に加え、フィギュア文化が根付く日本ならではのカルチャーとして捉えて面白がっている側面がある」と指摘した。

「このような形で世界に知られるのは恥ずかしい」

こうした状況に、能登町民の心境は複雑だ。60代の女性は「能登は日本の原風景のような里山里海の自然が残る自然豊かな観光地。このような形で世界に知られるのは恥ずかしい」と憤る。40代の男性も「結果的に人が多く集まったとしても、今後は税金の使い方はしっかりと議論した上で決めないといけない」と注文した。

コロナ禍という未曽有の事態に対応するため各地に配分された臨時交付金は、地方自治体の予算の活用法の是非という本質的な課題を浮き彫りにした。

感染症拡大が全国で続く中、コロナとの関係性が不透明な巨大イカ像を設置する予算案を計上した能登町の判断は問題として厳しく追及されるべきだ。