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2021/05/24

顔面に激しく殴打された痕

 島根・広島両県警の合同捜査本部による大規模な捜索で、臥龍山で大腿骨と四肢が切断された胴体、左足首が発見された。さらに19日には野生動物の糞や付近から、右足の親指の爪1点と、爪と見られる破片4点、約1.5センチメートル大の肉と骨片が見つかった。

 広島県警担当記者は説明する。

「遺体の顔面には皮下出血と筋肉内出血が認められ、生存中に激しく殴打されたことを裏付けます。死因は紐状のもので首を絞められた絞殺です。遺体は死後に切断されていますが、胴体には4肢の切断とは別の刃物で切られた傷がありました」

Hさんの遺体の一部が見つかった臥竜山を捜索する捜査員 ©共同通信社

 事件が起きた浜田市は人口6万人あまり。香川県坂出市出身のHさんは、その年の4月、地元の高校を卒業し、大学入学のため、浜田市にやってきたばかりだった。交友関係も限られており、重要参考人の絞り込みは容易であると見られていた。当然ながら捜査では、Hさんとは関わりのない“流し”による犯行の可能性も考えられていたという。島根県警担当記者は言う。

「Hさんが姿を消した市中心部から、遺体が遺棄された臥龍山に向かう国道186号線の金城地区には、通過車両のナンバーを記録するNシステムが設置されています。10月26日から11月6日までの間に通過した車両について、順次捜査が行われることになりました」

 だが捜査は難航を極めた。そのため、通常であれば半年以上経った事件に適用される「捜査特別報奨金制度」に、事件発覚3カ月後の10年2月から対象となった。

 事件解決・被疑者検挙につながる有力情報の提供者に最大300万円が支払われるこの制度はその後、毎年更新を続けることとなる。