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2021/05/24

「ホラー映画を見るか?」

 また、広島県北広島町で林業関連会社に勤めるCさんは、10月26日の午後10時30分頃にNシステムの設置された金城を通過したことで疑いをもたれたという。

「11月の半ば過ぎに勤め先の会社から自分に電話があり、『警察が(Hさんの事件で)事情を聞きたいと言っているから、知っていることを全部話すように』と言われたんです。しかし、それからしばらく何の連絡もなかったのですが……」

 Cさんが異変に気づいたのは12月の初旬に入ってからだった。

「車で移動していると、いつも同じ車が目に付くようになったのです。10日間くらい連続で同じ車と遭遇しています。こちらがスピードを落とすとあちらの車も減速するし、飛ばしたらついてきました。さすがに気持ち悪くなって車を停めて話を聞こうとしたら、そのまま追い越していくのです」

臥竜山に黙祷する捜査員 ©共同通信社

 警察は、事前に会社を通じてCさんに話を聞きたいと伝えることによって、Cさんが証拠隠滅や逃亡を図ったりしないか、行動確認をしていたのだ。

「最初の連絡から1カ月以上経った12月23日、ようやく刑事が自宅にやってきました。2人の刑事から事件当日、浜田市で何をやっていたのか聞かれたので、もし浜田に行くとすればパチンコだと答え、店名を伝えました。それから捜査員がチェーンソーや鎌といった仕事道具と風呂場を見せて欲しいというので見せました。仕事に使う刃物類は室内に置いてあり、刑事はそれを1つずつ丁寧に確認。さらに浴室内を見回り、結局、2、30分程度で帰っていきました」

 その2日後、刑事2人はCさん宅にふたたびやって来た。

「そのとき聞かれたのは、パチンコ屋以外の立ち寄り先について。帰った後にも刑事から電話があり、『仕事で怪我をしたことはあるか?』という質問をされました。6月にチェーンソーで足を切ったと伝えると、『その血は車についたのか?』などとしつこく聞かれ、タオルを巻いたからついてないと否定すると、『血のついたタオルを運転席の後ろに投げなかった?』などと畳み掛けてきました。どこかこちらの反応を試している感じでした」

 刑事はそれから間を空けず、再度Cさんに電話をかけてきた。

「2回目の電話では、『ホラー映画を見るか?』と尋ねてきたので、(米ホラー映画の)『SAW5(ソウ5)』のDVDを借りて見たことを話すと、『人間の肉を食うビデオは見たことある?』と聞かれたんです。もちろん否定しました」

 以来、Cさんのまわりから捜査の気配は消えたという。

 その後も性犯罪の前歴者、猟師や医療関係者、さらには車両、空き家への捜査など、捜査対象は無限に広がっていったという。捜査関係者はどのようなルートで犯人の矢野にたどりついたのか。そして、矢野が死亡した背景には何があったのか。「【島根女子大生殺人】33歳真犯人はなぜ死んだか」の全文は、文藝春秋2021年6月号と「文藝春秋digital」でお読みいただけます。

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