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「コストがかかりすぎ」世界でも珍しい“五輪を招致しないスポーツ大国”オランダの言い分

2021/06/03
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 コロナ禍でオリンピック&パラリンピックの意義が揺らいでいる。IOCの拝金主義やスポーツを使った錬金術を知り、嫌悪感を感じている人も多いのではないだろうか。

 五輪&パラリンピックの大会期間は1カ月強。そもそもなぜ、そんな短期間のイベントに大金を投入するのだろう。どうして世界の国々はオリンピック&パラリンピックを開催したいのだろうか。

平昌オリンピックのスピードスケート女子1000mで、小平奈緒(左)、高木美帆(右)を抑えて金メダルに輝いたヨリン・テル・モルスもオランダ人 ©️AFLO

「国際社会における地位向上」

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「経済効果」

「市民へのスポーツ振興と普及」

 これらは招致に立候補した国の多くが掲げる「開催による効果」だ。もちろん国によって多少の違いはあるが、これらが3本柱といっても過言ではない。

 東京大会もこういった効果を望んでいたはずだが、新型コロナウィルスの影響で柱はすでにぐらついている。

ギリシャやブラジルは五輪後に経済危機に

 東京大会の開催費用は分かっているだけで1.6兆円にのぼり、史上最大規模まで膨らむことが確実だ。海外からの観客を受け入れないほか、参加選手や関係者も隔離状態になるためインバウンドの経済効果も得られない。

 またオリンピック以外の場面でもスポーツができる環境には制限がかけられており、スポーツ振興や普及どころではないのが現状だ。

 ワクチン接種が遅れている点、大会間近になってのコロナ感染者激増など、国際社会から悪い意味で注目を集めている。

 そもそも五輪&パラリンピック開催が開催地のプラスになるのかどうかは、東京大会が決まるずっと前から首をひねる状況だった。

 2004年アテネ大会(ギリシャ)、2016年リオ大会(ブラジル)など大会後に経済危機や不況に陥った国も多く、莫大な予算をかけて作った会場を維持できない過去の開催国も多い。にもかかわらず開催費用が肥大化する五輪への批判は増加する一方だった。日本でも、2020年の延期を経て今年も大混乱が続いており、五輪不要論も大きくなっている。