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「こんな裸だった」と言いふらし…私が“女性から女性への性加害”について声を上げる理由

下着姿の写真を知人男性に見せられたことも

2021/06/08

修学旅行中に女子生徒と集団で大浴場に入ったのち……

 筆者である私はこれまで、女性からふざけてキス(同意のない、暴力性のあるものを「キス」と呼びたくないが……)をされたり、わざわざ男性の前で胸や尻を触られたり、下着をめくって無理やり隠れた部分を見られたり、身体的特徴に言及されることが度々あった。

 しかしながら、その行為に不快感を覚えても、後味の悪いもやもやの正体がなんなのか、自分の中で言語化できるまでに相当の年月を要した。なぜなら私もまた、同性間のセクハラや性的加害を認識できていなかったためだと思う。

 私が同性間の性的加害について真剣に考え始めたのは、比較的最近、とある女性から相談を受けたことがきっかけのひとつとしてある。

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©iStock.com

 女性は学生時代、修学旅行中に女子生徒と集団で大浴場に入ったのち、自分がコンプレックスに感じていた身体的特徴を男子生徒に言いふらされ、陰で卑猥なあだ名をつけられ、嘲笑されていたことを知ったという。

 そのショックから学校に行くのが辛くて仕方がなくなり、大人になった今でも、身体を誰かに見られるのが恐ろしくて、人前で服を脱ぐことができない。そのため温泉や銭湯、プールにはもちろん行けず、恋人に対してですら身体を見せられない苦しみを抱えている。今でも、当時のことを夢に見る。そう話す女性は「初めてこのことを人に話せた」と泣いていた。

「自分がひどいことをされていた」と認めることは、実は簡単ではないと思っている。自分と同じ被害を受けた人が声を上げていたり、誰かに指摘されてはじめて「ああ、自分がされていたことはこういうことだったのか」と言語化し、気付くことも少なくない。