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「検診に行ってくださいね」

 2016年6月、海老蔵が会見を開き麻央さんが乳がんであり、かなり深刻な病状であることを公表した。麻央さんは「家族と一緒に生きるために、これからも治療に励んでいきます」とコメントを発表した。

「自分のがんを治してから、世間のみなさんに報告したい。そして、今度は私がこの病気のことを世の中に伝える役割を果たしたい」

 それが彼女の願いでした。

 昨年の9月に麻央はブログ「KOKORO.」を始めました。その少し前に、「始めていいですか?」と連絡がきました。少しでも治療や心を安定させることに役立つのであれば、そして何より、自分と同じ苦しみを味わっている人を励ましたいという彼女の想いが痛いほど分かりましたので、「ぜひやったほうがいい」と伝えました。

 闘病中も連絡を取っていましたが、海老蔵さんをはじめ、ご家族が看病をしているわけですから、私ができるのは、見守ることだけでした。「移動のとき、車を出すよ」と言っても、麻央は気を遣って「ありがとうございます」と答えるだけ。こちらが心配しているはずなのに、いつの間にか「菅さんも検診に行ってくださいね」「奥さんにも検診のこと伝えてくださいね」と、こちらを心配してくれるのです。

©文藝春秋

 入退院を繰り返していた麻央さん。今年の春に病状が悪化し、家族と一緒に過ごすため、5月29日からは自宅療養中だった。それから1カ月足らずの6月22日、34年の生涯を閉じた。

「私と菅さんは表裏一体」

 今年の2月だったと思いますが、麻央が新居に引っ越したので「落ちついたら遊びに来てください」と誘われていたんです。だから、こんな急激に病状が悪化するとは思いもしませんでした。私は覚悟ができているようで、まったくできていませんでした。

 棺の中の麻央と一対一で対面したとき、彼女が「ZERO」のキャスターをしていた頃、私に語ってくれた言葉を思い出しました。

「タレントとマネジャーさんって表裏一体だと思うんです。私はテレビに出る人だけど、裏で支えてくれる人がいないと成り立たない。だから、私と菅さんは表裏一体。私は菅さんで、菅さんは私」

 麻央は病気で辛い状態だったのに、同じ病で苦しむ人を励まし続けました。どんな状況でも前を向き続けた彼女を見て、私が弱音を吐くわけにはいきません。また今度会えたとき、「立派なマネジャーになりましたね」と言われるよう、私も精一杯に前を向いて生きていこうと思います。またいつか笑顔で会えればなと思います。その時までさようなら。

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