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父親と2人きりになった20分間で長女の顔が真っ白に…乳児“揺さぶり”にまつわる無罪判決が相次ぐ理由

SBS理論推進派と反対派の“場外戦”

「適法な上告理由が見いだせなかった」

 東京都町田市の自宅で2017年、生後1カ月の長女の体を揺さぶり死なせたとして傷害致死罪に問われ、一、二審とも無罪判決が出た父親(44)。東京高検は最高裁への上告期限となる6月11日、上告を断念し事実上の白旗を掲げた。

危機感を募らせる検察庁 ©共同通信社

 社会部記者の解説。

「異変が起きたのは、家族3人で初めて自宅近くに外出した記念日の夜でした。長女を寝かしつけた母親が風呂に向かった後、長女は20分間ほど父親と2人きりに。入浴を終えた母親は、心肺停止状態で顔が真っ白になったわが子を見て、叫び声を上げたといいます」

 頭部に目立った外傷がない一方で、長女には「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」の典型症状とされる硬膜下血腫▽眼底出血▽脳浮腫――の三症状があった。一審で検察側は「父親が長女を揺さぶり、頭部に振り子のような回転性の力が加わった」と主張したが、地裁は母親の証言を基に、体重95キロの父親が必死に心臓マッサージを行ったと認定。父親による虐待の前兆がなく、円満だった家族関係も考慮し、「揺さぶりで生じた傷害とは断定できない」と結論づけた。

「今年3月の控訴審初公判では、検察官が証拠調べを請求した医師ら8人の証人尋問などについて、裁判長はすべて却下し審理は僅か5分で終結。5月28日には一審に続いて無罪が言い渡されました」(同前)